リュウグウ (小惑星)

リュウグウ（162173 Ryugu）

リュウグウは、アポロ群に属する地球近傍小惑星であり、宇宙航空研究開発機構（JAXA）が進める小惑星探査プロジェクト「はやぶさ2」の目的地となっています。これは特に、地球への衝突の可能性が高い「潜在的に危険な小惑星（PHA）」に分類されており、そのための研究が進められています。

発見の歴史

リュウグウは1999年5月10日に、リンカーン研究所の自動観測プログラムで発見されました。その後、JAXAの「はやぶさ2」がこの小惑星を探査することが決まり、注目が集まることとなります。

物理的特徴

リュウグウは、他の地球近傍天体と比較して、特に衝突の危険性が高い小惑星です。そのため、今後の研究や観測にとって非常に重要な存在とされています。リュウグウの組成は、主にC型小惑星であり、炭素質コンドライトから成り、太陽系形成初期の有機物なども多く含まれていると考えられています。加えて、NASAのはやぶさ2による近赤外分光計（NIRS3）を用いた観測から、リュウグウの表面に含水鉱物が存在することが確認されました。

形成と進化の過程

リュウグウは、かつて存在した母天体の破片が再集積して形成されたと考えられています。おそらく、約45.6億年前に形成された母天体が、他の天体との衝突によって破壊され、その破片が再び集まることによって現在のリュウグウが誕生したのです。この過程では、かつて高速回転していた母天体が、遠心力によって今の形状が形成されたと考えられています。現状の自転周期は約7.6時間ですが、元々は3.5時間のスピードで回転していた可能性もあります。

名称とその由来

2015年10月5日に、国際小惑星センターはリュウグウの名称を正式に発表しました。この名は、日本の伝説「浦島太郎」に由来し、物語の中で浦島太郎が持ち帰る宝箱と「はやぶさ2」が持ち帰るサンプルカプセルと重なり合う点が評価されました。また、水を含む小惑星と期待されることから、水をテーマにした名称でもあります。リュウグウという名前は、JAXAの一般公募を通じて選ばれ、国際天文学連合（IAU）の規定にも適合しています。

地名と特徴

リュウグウの表面には、JAXAによって複数の地形名称が提案され、いくつかは神話や童話にちなんだ名前がつけられました。例えば、「オトヒメ」や「リュウジン」といった名称は、浦島太郎に由来しています。また、サンプル採取で形成された「おむすびころりんクレーター」も名付けられ、2019年には新語・流行語大賞にもノミネートされるなど、幅広い注目を集めています。

まとめ

リュウグウはただの小惑星にとどまらず、日本の宇宙探査の象徴的な存在となっています。その重要性は、地球に対する潜在的な危険だけでなく、太陽系の成り立ちや歴史を知る手がかりにもなっています。今後も、はやぶさ2による探査の成果が期待されます。

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