リュビ級原子力潜水艦

リュビ級原子力潜水艦

概要

リュビ級原子力潜水艦は、フランス海軍が初めて開発した攻撃型原子力潜水艦であり、そのデザインや機能については特異な点が多々見られます。排水量は約2,000トンと、他国の同タイプの潜水艦に比べて非常にコンパクトであり、2022年時点でも実用的な戦闘用原子力潜水艦の中では最小と言える存在です。この小型化は運用経済性には色々な影響を及ぼすものの、フランスの原子力潜水艦の歴史に深く根ざしたデザインとして特徴づけられています。

第二次世界大戦後、フランス海軍は1950年代から原子力潜水艦隊の構築を始めましたが、最初の潜水艦の発注が1958年に行われたものの、政治的な理由から1960年にキャンセルされました。フランスが独自の核戦力を確保するために、陸上・航空・海中のシステムが平行して開発され、その際に海軍が重視された背景がありました。この結果、開発自体が遅れ、攻撃型潜水艦に対する優先順位が後回しにされました。

フランス海軍は弾道ミサイル原子力潜水艦の開発が一定の成功を収めるまで、攻撃型の開発には着手せず、1970年代半ばになってようやくリュビ級の開発に着手しました。限られた資源で迅速にプロジェクトを進めるため、通常型潜水艦であるアゴスタ級の設計を参考にし、ソナーや兵装の管理システムも流用されました。

また、この級の特徴的な点は、タービンと電動機を組み合わせた推進システムの採用です。この方式は静粛性が高い一方で、システムが複雑化し信頼性が低下する可能性があるため、他国の原子力潜水艦ではあまり見られない手法です。2005年時点で、フランス海軍の原子力潜水艦はこのシステムを採用しており、シュフラン級の後継も含まれます。

発展と運用

リュビ級潜水艦にはエグゾセ対艦ミサイル運用能力が備わっており、1984年にはサフィールが本級として初めてこのミサイルを搭載しました。リュビ級では、モデルによって異なる能力や改良が行われており、特にアメティスト級では性能向上が図られています。アメティスト級には、4番艦までとの変更点があり、全長や水中排水量の変更が行われ、その設計には静粛性や流体力学的な改善が図られていることが理解できます。

現在、本級はトゥーロンとロリアンを母港とする二つの戦隊に所属しています。また、完全編成の乗員が二組、すなわち赤チームと青チームが配備されており、艦の稼動効率を高める工夫がなされています。2040年までの過渡的な運用が見込まれ、シュフラン級原子力潜水艦との後続が計画されていますが、実際にはさまざまな遅延が発生しています。

事故と課題

リュビ級潜水艦は、過去にいくつかの事故を経験しています。1994年にはエムロードが原子炉事故を起こし、その結果10名が命を落としました。また、2020年にはペルルがトゥーロン基地において火災事故を引き起こし、その後の修復を経て2023年に復帰しました。

輸出計画

カナダ政府は1987年に包括的な国防計画の一環としてリュビ級またはトラファルガー級の潜水艦を10～12隻購入する意向を示しましたが、要求仕様が満たされなかったため、計画は最終的に中止されました。

登場作品

リュビ級潜水艦は、漫画『沈黙の艦隊』に登場する実在艦としても知られています。この作品では、エムロードが主人公に関与する艦の一隻として描かれています。


リュビ級原子力潜水艦は、その小型でありながらも独自の設計思想に基づいた特性を持つ艦艇で、フランスの海軍力を支える重要な一翼を担っています。

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