リュマニテ

フランスの日刊紙『リュマニテ』：歴史、現状、そしてユマニテ祭

『リュマニテ』(L'Humanité) は、フランスを代表する日刊新聞です。その歴史は古く、フランス共産党との深い繋がりを持つ一方、現在では党から独立した立場を保ちながら、独自の論調を展開しています。

創刊から共産党機関紙へ

1904年、ジャン・ジョレスという社会党指導者によって創刊された『リュマニテ』。当初は社会党系の新聞でしたが、フランス社会党が分裂したのち、共産主義者の手に渡り、1921年にはフランス共産党の機関紙となりました。

その後、フランス共産党の盛衰と共に歩んできました。党が政治的に孤立した時期には、党員からの寄付に支えられながら発行を続けました。著名な作家ルイ・アラゴンが寄稿するなど、文化面でも大きな影響力を持ちました。1936年のフランス人民戦線結成による共産党の台頭は、『リュマニテ』の発行部数と地位の向上に繋がりました。

第二次世界大戦中はドイツ軍による発行禁止令が出されましたが、地下組織として活動を続け、終戦後は絶頂期を迎えました。戦後、フランス共産党が左派陣営を主導した時代には、発行部数が大幅に増加しました。しかし、1980年代以降、共産党の支持基盤が縮小すると、『リュマニテ』も発行部数の減少、経営悪化に直面しました。

経営危機とソ連からの援助

ソ連崩壊とフランス共産党の支持者減少により、経営はさらに深刻化しました。ソ連からの援助を受けていたという指摘もあり、発行部数は50万部を超えていた時期から7万部以下にまで減少。存続の危機に瀕したのです。

2001年、フランス共産党は経営危機打開のため、TF1などの投資家グループに持ち株の一部を売却しました。これは、共産主義を支持する新聞が私企業に救済されるという皮肉な状況でしたが、当時の編集長は「生きるか死ぬかの問題」と表現したと伝えられています。

復活への道筋

2001年以降も存続を危ぶむ声はありましたが、『リュマニテ』は日曜版の創刊など、経営の立て直しに成功しました。発行部数はゆるやかに増加傾向にあり、現在も日刊紙として発行され続けています。

ユマニテ祭：大規模な政治文化イベント

『リュマニテ』は、毎年恒例の「ユマニテ祭」を開催しています。1930年に始まり、パリ近郊を会場に、政治活動や文化活動の場として、多くの人々を集めてきました。近年はル・ブルジェ空港近郊の広大な公園で開催され、2010年には60万人の参加者を記録するなど、大規模なイベントとして定着しています。

まとめ

『リュマニテ』は、フランス共産党との深い繋がりを持ちながらも、独立した立場を保ち、フランスの政治・文化に多大な影響を与え続けています。経営危機を乗り越え、現在も発行を続けるその歴史は、フランス社会の変遷を反映していると言えるでしょう。ユマニテ祭は、その活動を象徴するイベントとして、今後も多くの注目を集めることでしょう。

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