リュート旅団

ウクライナ国家警察連合強襲旅団「リュート」（Об'єднана штурмова бригада Національної поліції України «Лють»）は、ウクライナ国家警察に所属する特殊部隊です。その名前「リュート」はウクライナ語で「憤怒」や「怒り」を意味し、その名の通り、ロシアの侵攻に対して強い意志を持って戦う部隊です。なお、弦楽器のリュートはウクライナ語では「Лютня」と表記されます。

創設と背景

2023年1月13日、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、特殊任務巡回警察のサファリ警察連隊、ツナミ警察大隊、ルハーンシク-1警察大隊を基幹としてキーウで創設されました。この部隊は、ウクライナの国土防衛において重要な役割を担うこととなりました。

主な戦歴

東部・バフムート戦線

2023年7月、リュート旅団は激戦地である東部ドネツィク州バフムート地区に投入されました。第5独立強襲旅団や第80独立空中強襲旅団と共に攻勢を開始し、バフムート南のクリシチウカを解放するなどの戦果を上げました。

同年12月には、特殊任務巡回警察のドニプロ-1警察連隊がリュート旅団に加わり、戦力が増強されました。さらに2024年2月には、特殊任務巡回警察のシュトルム警察大隊も配属され、部隊の戦闘能力が強化されました。

しかし、戦線では悲劇も起きました。2024年3月、南部オデッサ州へのロシア軍ミサイル攻撃で、ツナミ連隊のオレクサンドル・ホスティシチェフ連隊長が戦死しました。この痛ましい出来事にも屈せず、部隊は戦い続けました。

2024年5月には、サファリ連隊がバフムート西のチャシウ・ヤール方面に展開し、同年8月にはエネーイ大隊がバフムート南のトレツク方面に展開しました。これらの動きは、戦況に応じて部隊が柔軟に配置転換されていることを示しています。

北東部・ハルキウ戦線

2024年5月、ツナミ連隊はロシアとの国境に近い北東部ハルキウ州チュフイウ地区に再配置され、友軍を支援するためヴォウチャンシク方面に展開しました。これにより、戦線はさらに拡大し、リュート旅団は各地での戦闘を余儀なくされました。

東部・ポクロウシク戦線

2024年11月には、ツナミ連隊が再び激戦地である東部ドネツィク州ポクロウシク地区に再配置され、友軍を支援するためにポクロウシク方面に展開しました。これらの動きから、リュート旅団が常に最前線で戦い続けていることがわかります。

編制

リュート旅団は、以下の部隊で構成されています。

旅団司令部（キーウ）
サファリ強襲連隊
ツナミ強襲連隊
ルハーンシク強襲連隊
ドニプロ-1警察連隊
ミロトヴォレツ警察大隊
スキーフ警察大隊
エネーイ警察大隊
ザキド警察大隊
タウル警察大隊
シュトルム警察大隊

これらの部隊はそれぞれ異なる専門性を持ち、リュート旅団全体の戦闘能力を支えています。

指揮官

リュート旅団の指揮官は以下の通りです。

オレクサンドル・ネトレプコ警察大佐（創設時～2024年9月）
* マクシム・カズバン警察大佐（2024年9月～）

指揮官の交代はありましたが、リュート旅団は一貫してウクライナの防衛のために戦い続けています。

まとめ

ウクライナ国家警察連合強襲旅団「リュート」は、ロシアの侵攻に対抗するために創設された精鋭部隊です。バフムートをはじめとする激戦地で重要な役割を果たし、各地で勇敢な戦いを繰り広げています。その編成や戦歴、指揮官の変遷からもわかるように、リュート旅団はウクライナの自由と独立を守るために、日々戦い続けています。今後もリュート旅団の活躍から目が離せません。

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