リョウブ

リョウブ（令法）

リョウブ（学名: Clethra barbinervis）は、リョウブ科に属する落葉性の小高木です。日本では北海道から九州にかけて、山林に広く分布しています。初夏から夏にかけて、枝先に白い小さな花を多数咲かせ、秋には美しい紅[[葉]]を楽しむことができます。

特徴

樹高は7～9m程度で、樹皮は茶褐色と灰褐色のまだら模様が特徴的です。表面は薄く剥がれ落ち、滑らかな木肌になります。この樹皮の様子がサルスベリに似ていることから、「サルスベリ」と呼ばれることもあります。若木の樹皮は灰褐色で、一年枝は細く、枝先には星状の毛が残っています。

葉は楕円形から倒披針形で、長さは約10cm、幅は約3cmです。葉の先端は尖っており、縁には細かい鋸歯があります。葉の形はサクラの葉に似ており、葉の幅は先端に近い部分が最も広くなります。表面には光沢がなく、無毛または微毛が見られます。葉は枝先にらせん状に互生しますが、枝先に集まる傾向があります。新葉はやや赤みを帯び、秋には黄色、橙色、赤色、赤褐色など、日光の当たり具合によって様々な色に紅[[葉]]します。特に日当たりの良い葉は鮮やかな橙色から赤色に変化します。

花期は6月から9月頃で、枝先に長さ約15cmの総状花序を数本出し、多数の白い小花を咲かせます。花は下から順番に咲き進み、花弁は5つに分かれています。果実は蒴果で、秋になると褐色に熟します。葉が落ちた後も、果序が長く残り、冬の景色に彩りを添えます。

冬芽は側芽はほとんど発達せず、頂芽は円錐形で毛に覆われています。葉痕は三角形や心形で、枝先に集まってつきます。

分布

リョウブは、北海道南部から本州、四国、九州、済州島、中国、台湾に分布しています。低地や山地、丘陵の雑木林の中や斜面などに自生し、日当たりの良い場所を好みます。森林を構成する樹種というよりは、パイオニア的な性格が強く、庭木としても利用されます。

リョウブ属はアジアとアメリカ大陸の熱帯・温帯地域に数十種が分布しています。

利用

リョウブは、家具材や建材として利用されるほか、庭木としても人気があります。春には枝先に集まってつく若芽が山菜として食用にされます。採取時期は地域によって異なり、暖地では4月頃、寒冷地では4～5月頃が適期です。若芽は茹でて水にさらし、細かく刻んで塩味を付け、ご飯に混ぜて「令法飯」として食されます。その他、おひたし、和え物、煮びたし、汁の実、天ぷらなどにも利用されます。昔は飢饉の際の救荒植物としても重要な役割を果たしました。ただし、一度に大量に摂取すると下痢を引き起こすことがあるので注意が必要です。

また、リョウブの花から採れるハチミツは、5年に一度しか採取できない貴重なもので、結晶化しにくく、香りが高いのが特徴です。

リョウブの名前の由来には諸説あり、救荒植物として育て蓄えることを法で定めたためという説や、花序の形から「竜尾」がなまったという説などがあります。「ハタツモリ」という古名もありますが、語源ははっきりしていません。

リョウブは、その美しい姿と様々な利用方法で、古くから人々の生活に深く関わってきた植物です。

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