リライアンス級カッター

リライアンス級カッターについて

リライアンス級カッターは、アメリカ沿岸警備隊が運用している中距離用の艦艇で、正式にはMedium Endurance Cutter（WMEC）と呼ばれています。この艦級は、1966年5月1日に巡視船からWMECへと名称が変更され、その全長から210フィート級とも呼ばれています。

設計の背景

リライアンス級は、第二次世界大戦中に建造されたカッターを更新する目的で設計されました。特徴的な船型は長船首楼型であり、上部構造は背の高い3層構造を持っており、船橋からは全周の視界が確保されています。この艦は、10,000トン以上の船舶を曳航できる能力を備えており、アメリカ周辺の海域での警備や救難任務をこなすように設計されています。通常は、年間の半分を哨戒任務に従事し、残りの期間は艦の保守や乗員の休息に充てます。哨戒任務は一回あたり約6〜7週間に及ぶことが一般的です。

主要機関の構成

当初、最初の4隻についてはCODAG（ディーゼル・ガスタービン混合）構成の主機が搭載されていました。この構成では、クルーズ用にFVBM12-Tディーゼルエンジンを2基（合計出力3,000 bhp）、加速用にサターンT-100型ガスタービンエンジンを2基（合計出力2,000 shp）使用していました。しかし、燃費の悪さが問題となり、1986年からの改装では、5番艦以降の艦に見られるような純粋なディーゼル構成に切り替えられました。

武装と装備

装備面では、当初はレーダーとしてAN/SPS-23が搭載されましたが、1980年代にはAN/SPS-64 2基に変更され、その後AN/SPS-73へとアップグレードされました。また、1984年から1998年にかけてはMMA（Midlife Maintenance Availability）と名付けられた改装が行われ、これによりベア級カッターに似たC4Iシステム（SCCS-210）が導入されました。

武装は比較的軽めでしたが、戦時中にはAN/SQS-17ソナー、ヘッジホッグ対潜迫撃砲、Mk.32 3連装短魚雷発射管、追加の3インチ砲が計画されていました。しかし冷戦の終焉とともにこれらの計画は中止され、主兵装は手動式の76mm単装砲からMk.38 25mm単装機銃に変更されました。実際には、これらの追加武装が取り付けられた形跡は確認されていません。

ヘリコプター運用のための設備として、格納庫はありませんが、船首楼甲板の後端にはヘリコプター甲板が設けられており、露天で救難ヘリコプター1機の運用が可能です。最終艦である「アラート」は、アメリカ軍の艦艇として初めてベアトラップ着艦拘束装置を装備し、1969年からはHH-52Aヘリコプターによる運用試験が実施されました。

同型艦について

リライアンス級カッターは、当初30隻の建造が計画されていましたが、実際には16隻に留まりました。これらの艦艇は、アメリカ沿岸警備隊における重要な存在となっており、長い歴史の中で多くの任務を果たしてきました。

映画への登場

リライアンス級カッターは、映画『エアポート'77/バミューダからの脱出』にも登場し、レーダーから消失したボーイング747の捜索活動に加わります。この映画の撮影には、アメリカ沿岸警備隊の全面的な協力が得られ、実際の艦艇が使用されました。

関連項目

リライアンス級カッターに関連する存在として、だいおう型やしれとこ型巡視船が挙げられます。これらは海上保安庁に配属されている同世代かつ同級の巡視船であり、ヘリコプター甲板は搭載されていません。

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