リンカーン (自動車)

リンカーン: アメリカの高級車ブランド

リンカーン（Lincoln）は、アメリカのフォード・モーター社が展開する高級車ブランドで、1917年に設立されたザ・リンカーン・モーター・カンパニーによって販売されています。このブランド名は、アメリカ合衆国の第16代大統領であるエイブラハム・リンカーンから名づけられました。リンカーンは、キャデラックとともにアメリカを代表する高級車ブランドとして知られ、その特徴は品質と性能の高さにあります。

創業の経緯

リンカーンは、ヘンリー・M・リーランドとその息子により設立されました。リーランドはキャデラックの創業者で、GMに吸収された後もキャデラックでの役職に就いていました。しかし、第一次世界大戦中に政府からの航空エンジンの生産を求められた際、GMの創業者ウィリアム・C・デュラントと意見が対立し、リーランドはGMを離れ、自らリンカーン・モーターカンパニーを設立しました。戦争中、リンカーンは6500基のリバティ航空エンジンを納入し、その職務を果たしました。

戦後、リンカーンは高級車ブランドとして再出発。リーランドは、高性能なモデルを開発するため、かつてのキャデラックで培った技術を活かしました。1920年に完成した初期の試作車は、90PS以上を誇り、時速80マイル（約130km/h）に達する性能を持っていました。ただし、初の量産車「モデルL」の販売は不振に終わりました。スタイリングの問題が影響し、魅力的なデザインを持ったボディを提供できなかったことが販売減につながったのです。1930年代に入り、リンカーンはフォード・モーターによって買収されました。

フォードによる再編成

フォード社がリンカーンを買収する際、初代社長エドセル・フォードにリンカーンの運営を託けました。エドセルは高級車の重要性を認識し、優れたスタイリングの実現を目指しました。彼の指導のもと、リンカーンは数々の著名なコーチビルダーと契約し、魅力的なボディデザインを実現することに成功しました。この結果、リンカーンはアメリカの高級車市場で著名な地位を確立しました。

ゼファーと初代コンチネンタル

1936年、リンカーンは新たにゼファーを投入し、上級中級車市場に進出しました。この車は流線型のデザインが特徴で、多くの賞賛を受けました。その後、エドセルは流線型のデザインを発展させ、初代コンチネンタルに結びつけることとなります。コンチネンタルは、エドセルが特注車として開発を進めたもので、富裕層からの人気を集め、ブランドの象徴的存在となりました。

1940年代には、リンカーンは戦後型の上級車「コスモポリタン」を発表し、新世代のモデルへと進化を遂げました。その後、デザイナーたちが手がけたスタイリッシュなラインナップにより、リンカーンは市場での評価をさらに高めていきました。

大統領専用車と現代の展開

リンカーンは、キャデラックと並ぶアメリカの大統領専用車の供給者という歴史も持ち合わせています。1924年から始まったその供給は現在まで続いており、数々の歴史的な瞬間にも立ち会っています。

近年、リンカーンは新しいラインアップやデザインへと移行し、ナビゲーターやMKZなどの新車種を市場に投入しました。特に、1998年に発売されたSUV「ナビゲーター」の成功により、高級車市場での地位を確立しました。

現在、リンカーンは競争の激しい高級車市場において、新たなビジネス戦略を展開し、デザインや性能のさらなる向上を目指しています。アメリカ国内外での販売も行われており、日本市場への進出も重要な要素となっています。

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