リングマガジン プロスペクト・オブ・ザ・イヤー

リングマガジン プロスペクト・オブ・ザ・イヤー

リングマガジン プロスペクト・オブ・ザ・イヤー（Ring Magazine Prospect of the Year）は、アメリカ合衆国の権威あるボクシング専門誌『リングマガジン』が選出する、その年の最も有望な若手ボクサーに授与される特別な年間表彰です。この賞は、将来の世界チャンピオン候補として期待される若き才能に光を当てることを目的としています。

歴史と変遷

この賞は1983年に初めて創設されました。以来、1988年までの期間、毎年優れた若手選手がプロスペクト・オブ・ザ・イヤーに選ばれました。創設からわずか数年で、将来の伝説となるマイク・タイソン（1985年受賞）のような逸材が選ばれており、その選定眼の高さを示していました。

しかし、1988年を最後に、この賞は1989年に一度廃止されてしまいます。その理由は明確ではありませんが、若手育成の重要性を考慮した表彰が一時的に途絶える形となりました。

廃止から20年以上が経過した2010年頃、ボクシング界から再びプロスペクト・オブ・ザ・イヤーの復活を望む声が多く聞かれるようになりました。多くの関係者やファンからの強い要望に応える形で、リングマガジンはこの賞を2011年に再開することを決定しました。この復活により、再び年間で最も注目すべき若手選手が公式に表彰されるシステムが整えられました。

主な受賞者

この賞は、将来的に世界の頂点に立つ選手を多数輩出してきました。創設初期の著名な受賞者としては、前述のマイク・タイソンのほか、オリンピック金メダリストのマーク・ブリーランド（1984年）などがいます。

復活後の2011年以降も、世界チャンピオンやパウンド・フォー・パウンドのトップ選手となるべき才能が選ばれています。例えば、技巧派として知られるワシル・ロマチェンコ（2013年）、ヘビー級を牽引するアンソニー・ジョシュア（2014年）、そして日本の井上拓真（2015年）もこの賞を受賞しています。その他、キース・サーマン（2012年）、ハイメ・ムンギア（2017年）、テオフィモ・ロペス（2018年）、バージル・オルティス・ジュニア（2019年）、ジャロン・エニス（2020年）など、現代ボクシングを代表する多くの選手が若手時代にプロスペクト・オブ・ザ・イヤーとして認められています。これらの受賞者リストは、この賞がボクシング界の将来を見通す上で重要な指標となっていることを物語っています。

リングマガジンの年間表彰

プロスペクト・オブ・ザ・イヤーは、リングマガジンが年末に発表する様々な年間表彰の一つです。ファイター・オブ・ザ・イヤー（年間最優秀選手）を筆頭に、ノックアウト・オブ・ザ・イヤー、アップセット・オブ・ザ・イヤー、イベント・オブ・ザ・イヤー、ラウンド・オブ・ザ・イヤー、カムバック・オブ・ザ・イヤーなど、多岐にわたるカテゴリーでその年のボクシング界の出来事や選手を評価しています。プロスペクト・オブ・ザ・イヤーは、これらの年間表彰の中でも特に将来のスター候補に焦点を当てた、独自の意義を持つ賞と言えるでしょう。

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