リング・テムコ・ボート

リング・テムコ・ヴォート - アメリカの大手コングロマリットの歴史

リング・テムコ・ヴォート（Ling-Temco-Vought）、一般にLTVとして知られるこの企業は、アメリカの歴史の中で重要な役割を果たしてきました。その始まりは1947年、ジェームズ・リングによってダラスで設立されたリング・エレクトリックという電気工事請負業から始まります。

企業の成長

1940年代後半、リング・エレクトリックは革新的な営業手法を導入し、成長を加速させました。1955年以降、企業の買収に注力し、1956年にはL・M・エレクトロニクスを、1959年にはアルテックと呼ばれる音響機器メーカーを買収しました。これにより、リングは企業再編の道を歩むこととなります。特に、1960年にはテムコ・エアクラフトというミサイル事業に強みを持つ企業を合併し、これが後のLTV設立の基礎となりました。

さらに、保険会社のトロイ・ポストから資金を得て、チャンス・ヴォート・エアロスペース社を買収。当初のリング・エレクトリックは、リング・テムコ・ヴォート社という名の巨大企業へと成長していきました。

コングロマリットとしての地位を確立

1964年には、持株会社体制に移行し、3つの事業会社を設立しました。その後もオコナイトやウィルソン・アンド・カンパニーなど、数多くの企業を傘下に迎え入れ、1968年までに33社を買収。これにより、29,000人の従業員を抱え、様々な産業において15,000以上の製品を提供する国内有数の企業へと成長しました。連結売上高は27億ドルに達しましたが、次第に各企業の業績に落ち込みが見え始め、会社の株価に影響を与えるようになります。

経営危機と変革

1969年には、連邦公正取引委員会から独占禁止法違反の訴訟を受け、社会的にも厳しい視線が注がれました。その結果、社長ジェームズ・リングは1970年に取締役会から追放され、新たにポール・セイアがその職に就きます。

訴訟は1971年に和解に至ったものの、リング・テムコ・ヴォートは大きな変革を余儀なくされ、ブラニフ航空やオコナイトを売却し、社名をLTVコーポレーションに変更。1975年にはセイアの辞任後、レイモンド・ヘイが新たにCEOに就任しました。

終焉とその後

LTVはその後、鉄鋼業に特化し、LTVスチールとして存続を続けましたが、1993年には本社をオハイオ州クリーブランドに移転しました。2000年には破産を申請し、その資産はウェイルトン・スチールに売却され、最終的にはアルセロール・ミッタルの一部門となりました。

リング・テムコ・ヴォートの歴史は、企業の成長と経営の厳しさを物語っており、アメリカにおけるコングロマリットの象徴的な存在となっています。

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