リンジー伯爵 (スコットランド貴族)

リンジー伯爵の歴史：スコットランド貴族の系譜

リンジー伯爵は、スコットランド貴族の爵位であり、その歴史は15世紀にまで遡ります。本稿では、リンジー伯爵家の興隆と、関連するリンジー卿、ガーノック子爵、ベスーン準男爵位の歴史を詳細にたどります。

リンジー家の起源とリンジー卿位

リンジー家は、クロフォード領主家を本家とするリンジー氏族の一分家です。ナイトに叙されたウィリアム・リンジーを始祖とし、その子孫は代々スコットランド社会で重要な役割を果たしました。特に、ジョン・リンジー(?-1482)はスコットランド民事控訴院判事や国王ジェームズ1世の人質を務め、1455年には「バイアーズのリンジー卿」に叙せられ、リンジー家の貴族としての歴史が幕を開けました。

リンジー卿位は、初期の世代ではデイヴィッド、ジョン、パトリックと順次相続され、4代卿のパトリックはフロドゥンの戦いに参加し、王妃マーガレット・テューダーの顧問官にも任じられました。6代卿パトリックはスコットランド宗教改革を支援し、メアリー女王に反旗を翻したことで知られています。8代卿の没落後、弟ロバートが爵位を継承しました。

リンジー伯爵位とクロフォード伯爵位

9代卿の息子であるジョンは、1633年に「リンジー伯爵」及び「パーブロース卿」に叙爵されました。興味深いことに、同時期に、クロフォード伯爵位は、リンジー伯爵に優先的に継承させるため、返上と再叙爵が行われました。結果的に、リンジー伯爵はクロフォード伯爵を兼ねる事になり、両伯爵位は一時的に同一人物が継承することになります。しかし、これはスコットランド議会の越権行為だとする見解もあります。初代リンジー伯爵の五男はガーノック子爵位を創設し、リンジー伯爵家の分家が始まりました。

リンジー伯爵位は、初代から4代まで直系男子によって継承されましたが、4代伯の死去により、はとこ甥にあたるガーノック子爵が爵位を継承し、子爵位は伯爵位の従属爵位となりました。しかし、6代伯が子を残さずに亡くなったことで、全ての爵位は一時的に断絶しました。

爵位継承の復活とベスーン準男爵

その後、4代卿の次男ウィリアムの子孫であるサー・ジョン・トロッター・ベスーンが爵位回復を請願し、1878年に第10代リンジー伯爵として承認されました。ベスーン家は、1836年に準男爵位を得ており、これにより準男爵位は伯爵位に従属することとなりました。また、この継承により、クロフォード伯爵位は別系統のバルカレス伯爵家へと継承されることになり、リンジー伯爵位とクロフォード伯爵位は完全に分離しました。

現代のリンジー伯爵家

10代伯以降のリンジー伯爵は、家名のスペリング変更や貴族代表議員の就任など、歴史の変遷の中で重要な役割を果たしてきました。現在、第16代リンジー伯爵であるジェームズ・ランドルフ・リンジー＝ベスーンは、リンジー伯爵位に加え、ガーノック子爵、バイアーズのリンジー卿、パーブロース卿、キングスバーン及びドラムリーのキルバーニー卿を保持し、1999年の貴族院法制定後も、世襲貴族として貴族院議員を務めています。

まとめ

リンジー伯爵家は、スコットランド貴族の歴史の中で重要な役割を果たした家系です。リンジー卿位から始まり、伯爵位、子爵位、準男爵位を歴任し、その歴史は複雑で、幾多のドラマを秘めています。現在も続くリンジー伯爵家は、その歴史を受け継ぎ、現代の英国貴族社会においても重要な位置を占めています。その系譜と爵位の歴史は、スコットランド貴族社会の変遷を理解する上で、極めて重要な手がかりとなります。

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