リンゼイ・デイヴィス (作家)

リンゼイ・デイヴィスは、1949年イングランドのバーミンガムに生まれました。オックスフォード大学で英文学を専攻した後、公務員としてキャリアをスタートさせます。しかし、13年後、作家への道を志し公務員を退職。1985年にはロマンス小説でジョージェット・ヘイヤー歴史小説賞の次席に入賞、その後、イギリスの女性向け雑誌に作品を発表しました。

デイヴィスは幼少期より円錐角膜に苦しんでおり、大人になって角膜移植を受けました。この経験を通して、臓器提供の重要性を感じ、ドナーカードを持つことを読者に勧めています。

彼女の代表作は、古代ローマを舞台に探偵マルクス・ディディウス・ファルコを主人公とした『密偵ファルコシリーズ』です。1989年に発表された第一作『白銀の誓い』は大きな成功を収め、現在までに19作が刊行されています。シリーズを通して、ファルコが活躍する歴史ミステリ作品は高い評価を受け、世界中の読者を魅了し続けています。

デイヴィスは、ローマ帝国や歴史、考古学に深い造詣を持っています。当初は、ウェスパシアヌス帝とアントニア・カエニスを題材とした歴史小説を執筆しましたが、出版社を見つけることができませんでした。しかし、諦めずに書き続けた結果、ファルコシリーズで成功を収め、当初の構想であったウェスパシアヌス帝を題材とした小説『The Course of Honour』も、後に出版されました。

デイヴィスは、2008年に夫リチャードを亡くしました。彼女は『Rebels and Traitors』の巻頭で夫への追悼の言葉を記し、自身のウェブサイトや出版社のニュースレターでも夫への深い愛情と感謝の思いを綴っています。リチャードは、彼女の作品を熱心に読んでおり、デイヴィスの創作活動における大きな支えでした。

『密偵ファルコシリーズ』の成功に加え、デイヴィスは2009年にはイングランド内戦期を舞台にした『Rebels and Traitors』、2010年にはファルコシリーズの関連書籍『Falco: The Official Companion』、2012年にはドミティアヌス帝を主人公とした『Master and God』を発表するなど、精力的に作品を発表し続けています。2012年にはファルコの養女を主人公とする新シリーズの執筆も発表されました。

デイヴィスの作品は、歴史的考証の確かさと、緊迫感あふれるミステリー要素、そして人間味あふれる登場人物たちの描写によって高く評価されています。数々の文学賞を受賞しており、その才能は広く認められています。1997年から1998年には西洋古典学会の名誉会長を務めるなど、歴史研究分野においても貢献しています。

彼女の作品は、古代ローマの歴史に興味を持つ人々だけでなく、ミステリー小説ファンにも広く親しまれています。緻密なプロットと魅力的な登場人物、そして歴史への深い愛情が、読者を古代ローマの世界へと誘います。リンゼイ・デイヴィスは、現代の歴史ミステリ界を代表する作家の一人として、今後も多くの読者を魅了し続けるでしょう。

もう一度検索