リンツ・ブルックナー管弦楽団

リンツ・ブルックナー管弦楽団（ドイツ語: Bruckner Orchester Linz, 英語: Bruckner Orchestra Linz）は、オーストリアを代表するオーケストラの一つであり、その活動拠点をオーバーエスターライヒ州の州都リンツに置いている楽団です。

概要

この楽団は、オーストリアの主要なオーケストラとして国内外で広く知られています。楽団名に冠されているのは、19世紀後半を代表するオーストリアの作曲家アントン・ブルックナーです。リンツが位置するオーバーエスターライヒ州リンツランド地区には、ブルックナーの生誕地であるアンスフェルデンがあり、この地とゆかりの深い作曲家ブルックナーに敬意を表して命名されました。

楽団の起源は古く、1803年にリンツ州立歌劇場管弦楽団として設立されたことに遡ります。第二次世界大戦中のナチス体制下においては、短期間ながら「リンツ・ブルックナー管弦楽団」という名称が用いられ、指揮者としてゲオルク・ルートヴィヒ・ヨッフム（著名な指揮者オイゲン・ヨッフムの弟）が楽団を率いた時期がありました。戦後、楽団は再びリンツ州立歌劇場の付属オーケストラとしての活動に戻りますが、1968年にクルト・ヴェスが首席指揮者に就任した際に、現在の正式名称である「リンツ・ブルックナー管弦楽団」へと改称されました。

特にブルックナー作品の演奏には定評があり、クルト・アイヒホルンが指揮したブルックナーの交響曲全集録音などは広く知られています。また、未完とされる交響曲第9番の第4楽章を補筆完成した版を用いた演奏を披露するなど、意欲的な企画も行い、注目を集めました。

楽団の活動はオーストリア国内に留まらず、国際的にも展開されています。例えば、ブルックナー没後100年にあたる1996年の命日、10月11日には、遠く離れた日本の東京芸術劇場において、ブルックナーの交響曲第9番とテ・デウムを演奏するなど、記念公演も積極的に行っています。

ブルックナーとの深いつながりを持ちながら、オペラ演奏も担うなど幅広い活動を展開しており、オーストリアの音楽文化において重要な役割を果たしています。

歴代首席指揮者

リンツ・ブルックナー管弦楽団の歴代首席指揮者は以下の通りです。

クルト・ヴェス （Kurt Wöss, 1961年 - 1976年）
テオドール・グシュルバウアー （Theodor Guschlbauer, 1976年 - 1983年）
ローマン・ツァイリンガー （Roman Zeilinger, 1983年 - 1985年）
マンフレッド・マイヤーホーファー （Manfred Mayrhofer, 1985年 - 1992年）
マルティン・ジークハルト （Martin Sieghart, 1992年 - 2000年）
デニス・ラッセル・デイヴィス （Dennis Russell Davies, 2002年 - 2017年）
* マルクス・ポシュナー （Markus Poschner, 2017年 - 2027年）

これらの指揮者たちが、楽団の芸術的な方向性を定め、その発展に寄与してきました。特にデニス・ラッセル・デイヴィスは長期にわたり首席指揮者を務め、楽団の国際的な評価を高める上で大きな役割を果たしました。現在の首席指揮者であるマルクス・ポシュナーも、新たな時代に向けて楽団を牽引しています。

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