オーバーエスターライヒ州

オーストリアのオーバーエスターライヒ州：歴史、政治、そして美しい風景

オーストリア共和国を構成する9つの連邦州の1つ、オーバーエスターライヒ州は、豊かな歴史と美しい自然に恵まれた地域です。州都はリンツであり、面積は約1万2000平方キロメートル、人口は約140万人を擁します。ドイツのバイエルン州とチェコの南ボヘミア州を北に、ニーダーエスターライヒ州を東に、シュタイアーマルク州を南に、そしてザルツブルク州を西に接する、地理的に重要な位置を占めています。

歴史

オーバーエスターライヒ州は、その名の通り「上オーストリア」を意味し、オーストリア＝ハンガリー帝国時代には、エンス川上オーストリア大公国（Erzherzogtum Österreich ob der Enns）として知られていました。歴史の重みを感じさせるこの地には、アドルフ・ヒトラーの生誕地であるブラウナウ・アム・インも存在します。この事実は、州の歴史において複雑な影を落としていますが、同時に州の過去と現在を理解する上で重要な要素となっています。

美しいザルツカンマーグート

オーバーエスターライヒ州の西南部のザルツカンマーグート地域は、特に有名です。山々と湖の織りなす絶景は、国内外から多くの観光客を惹きつけます。ハリウッド映画『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台となったことでも知られており、映画のファンならずとも、その美しい風景に心を奪われることでしょう。湖水地方の穏やかな雰囲気と雄大な山々のコントラストは、訪れる人々に忘れられない思い出を残します。

政治

オーバーエスターライヒ州の政治構造は、州首相をトップとする州政府によって運営されています。第一共和政、ナチス政権、そして第二共和政と、時代とともに州首相は変遷してきました。それぞれの時代において、州の政治情勢はオーストリア全体の動向と深く結びついており、複雑な歴史を反映しています。

州首相の変遷を簡単に振り返ると、第一共和政時代にはヨハン・ハウザー、ヨーゼフ・シュレーゲル、ハインリヒ・グライスナーらがその職に就きました。ナチス政権下では、アウグスト・アイグルーバーがオーバードナウ大管区の大管区指導者として権力を握りました。戦後、第二共和政においては、アドルフ・アイグル、ハインリヒ・グライスナー、エルヴィン・ヴェンツル、ヨーゼフ・ラッツェンベック、ヨーゼフ・ピューリンガー、そして現在のトーマス・ステルツァーが州首相を務めています。

地方行政

オーバーエスターライヒ州は、歴史的に四つの地方（virtel）に分けられてきました。ハウスルックフィアテル、インフィアテル、ミュールフィアテル、そしてトラウエンフィアテルです。それぞれが独自の地理的特徴と歴史的背景を持っており、州全体の多様性を象徴しています。

行政面では、15の郡（Bezirk）に分けられ、さらにリンツ、ヴェルス、シュタイアーの3都市は、郡に属さない憲章都市（Statutarstadt）として、独自の行政機関を有しています。また、442の基礎自治体（Gemeinde）があり、その中には32の市（Stadt）と151の町（Marktgemeinde）が含まれています。この複雑な行政構造は、州の効率的な運営と住民へのサービス提供に貢献しています。

まとめ

オーバーエスターライヒ州は、歴史、政治、そして自然の織りなす美しい調和が感じられる魅力的な地域です。複雑な歴史的背景と、効率的な行政システム、そして何よりも美しいザルツカンマーグートの風景は、この州を特別な場所へと昇華させています。今後、この州がオーストリアそしてヨーロッパにおいて、どのような役割を果たしていくのか、注目に値します。

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