リンポポ川

リンポポ川の概要

リンポポ川（Limpopo River）は、アフリカ大陸南部を流れ、最終的にインド洋へと注ぐ全長約1,600kmの河川です。その流域は多様な生態系を持ち、古くから人々が暮らしてきました。上流部にはマリコ川とクロコダイル川が合流し、ここから下流がリンポポ川となります。特に640kmにわたり南アフリカ共和国、ジンバブエ、ボツワナの国境を形成しており、その後モザンビークに入り、シャイシャイ付近でインド洋に流れ込みます。

地理的特徴

リンポポ川の流れは大きな弧を描きつつ進みます。初めは北東へ向かって流れますが、途中から方向を変え、最終的には南東へ流れていきます。この地域の水は沈泥を多く含んでいて、流れは比較的緩やかです。そのため、雨期が限定的であることも重なり、水資源としてはあまり期待できません。特に乾燥した年には、実際に水が流れている日も40日以下になることがあります。

中流域に入ると、ウォーターバーグ山塊や落葉樹林が広がり、少数の人々が定住できる生態系が見られますが、下流域は肥沃な土地で人口も多いものの、雨期後の洪水が頻発し問題となることもあります。2000年2月には、記憶に新しい大規模な洪水が発生し、地域住民に壊滅的な影響を及ぼしました。

環境と人々の暮らし

南アフリカの北東端に位置するこの川は、大規模な保護区であるクルーガー国立公園に隣接しています。リンポポ川の河畔に広がる氾濫原には、カバの生息地であるマクレケ湿地があり、2007年にはラムサール条約登録地として認定されています。現在、約1,400万人が流域で生活し、その面積は41,500 km²にも及びます。

しかし、水資源の供給は地域の需要に追いついておらず、多くの人々が貧困に直面しています。旱魃やその他の環境要因により、作物が十分に成長せず、飢餓や栄養失調が発生することも少なくありません。

歴史的背景

リンポポ川を最初に訪れたヨーロッパ人は、1498年にこの川の河口に到達したヴァスコ・ダ・ガマの一行です。しかし、この地域にはそれ以前から人々が住んでおり、近くでは350万年前のアウストラロピテクスの化石も発見されています。

この川は、ラドヤード・キップリングの短編小説『象の子供』でも紹介され、その生態が注目されています。キップリングは「熱帯の木で装飾された大きなリンポポ川」を描写し、そこに「2色のニシキヘビ」が住むと記しました。

最近では、2013年の1月末から2月にかけて流域で集中豪雨が発生し、氾濫が起こり15万人以上が避難を余儀なくされました。こうした自然災害は、リンポポ川の周囲に住む人々の生活に影響を与え続けています。

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