リヴァプール大聖堂

リヴァプール大聖堂

リヴァプール大聖堂は、イギリスのリヴァプール市に位置するイングランド国教会の大聖堂です。この大聖堂は、イギリスにおける教会建築の中で最も大きなものであり、その建築面積は9,687 m²にも及びます。リヴァプール大聖堂は、壮大なスケールと独自の設計で、訪れる人々に感動を与えています。

1. 歴史的背景

リヴァプールの教区は1880年に設立され、当初はチェスターの教区に属していました。教区の創設に伴い、大聖堂の建設が必要となった理由は、既存の教会が収容能力の限界を迎えていたためです。この頃、リヴァプールは産業革命を背景に繁栄しており、その経済的な力を示す象徴としての大聖堂の建築が注目されました。

設計を担当する建築家を選ぶにあたり、全国的な設計競技が開催されました。この新設の教区に大聖堂が必要とされることは滅多にないため、多くの建築家がその挑戦に参加しました。最終的に選ばれたのは、まだ22歳の若い建築家、ジャイルズ・ギルバート・スコットでした。彼は格調高いゴシック・リヴァイヴァル様式を提案し、好評を得ますが、カトリック教徒であることから問題視されることもありました。それでも主教は彼に信頼を寄せ、建設を任せました。

2. 建設の始まり

1904年、エドワード7世が立ち会う中で、最初の石を置く儀式が行われ、正式に建設が始まりました。石材にはリヴァプール郊外で採掘された赤い砂岩が使用されましたが、寄付金が十分に集まらず、資金不足が発生しました。この影響で、建設の進行は思うように進まない状態が続きました。

3. 設計変更と戦争の影響

1910年、ジャイルズは設計に大幅な変更を加えることに決めました。本来のラテン十字形から聖ゲオルギウス十字に変更し、塔を二つから一つに集約しました。これによりデザインは現代的な印象を持つようになりましたが、主教の承認も得ることができました。第一次世界大戦の影響で労働力が不足し、1924年には内陣が完成するも、大聖堂の建設は依然として続いていました。

4. 完成に向けて

1950年代から1960年代にかけて、鉄筋コンクリート技術が進化し、ジャイルズは設計をさらに見直し、塔の高さを100 mに引き上げました。しかし、第二次世界大戦中にはドイツの空爆によって大聖堂に損傷が及び、戦後は身廊の建設が進められました。

1960年にジャイルズが亡くなった後、その息子リチャードが設計を引き継ぎましたが、経済的理由から彼も数年後に辞任し、財政的な制約によって変更が加えられました。そして1978年、ついに大聖堂は完成を迎え、エリザベス2世の参加の下で完成式典が行われました。

5. 現在のリヴァプール大聖堂

リヴァプール大聖堂は、その壮大さと独特なデザインであることから、多くの観光客を惹きつけています。歴史の中で生まれた数々の変遷を経て、今日でもその美しさと信仰の場として存在し続けています。また、さまざまな文化イベントやコンサートの会場としても利用されており、地域コミュニティに愛されるシンボルとなっています。

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