リヴァー・オブ・ドリームス

ビリー・ジョエルの90年代唯一のオリジナルアルバム『リヴァー・オブ・ドリームス』

『リヴァー・オブ・ドリームス』（River of Dreams）は、1993年にビリー・ジョエルが発表したアルバムです。このアルバムは、彼が1990年代に発表した唯一のオリジナル作品であり、音楽史においても重要な位置を占めています。

日本での先行発売版は、邦題がなく「RIVER OF DREAMS」とラテン文字の大文字表記でした。当時、ミニディスク版も発売され、話題を呼びました。

制作の背景

1992年の夏にレコーディングが開始されました。当初ビリー自身がプロデュースを手掛け、ニューヨーク州のシェルター・アイランドで7曲を制作しましたが、仕上がりに満足できず、ドン・ヘンリーの推薦により、ジェームス・テイラーやキャロル・キングとの活動で知られるギタリスト、ダニー・コーチマー（ダン・コーチマー）にプロデュースを依頼しました。

ビリーは自身のバンドメンバーに代えて外部のセッションミュージシャンを起用し、レコーディングをやり直しました。ただし、「見えないのは真実」のみは、シェルター・アイランドでのセッション音源がアルバムに収録されています。この曲はビリー自身とデイヴ・ソーナーの共同プロデュースです。また、タイトル曲「ザ・リヴァー・オブ・ドリームス」はダニー・コーチマーとジョー・ニコロの共同プロデュースとなっています。

ジャケットとパーソナルな背景

アルバムのジャケットには、当時の妻でモデルのクリスティ・ブリンクリーが描いた絵画が使用されました。このジャケットは、発売年にローリング・ストーン誌の「The Best Album Cover of the Year」に選ばれています。しかし、発売の翌年1994年にビリーとクリスティは離婚しています。

チャート成績とシングル

アルバムはBillboard 200で初登場1位を獲得し、ビリーにとって通算4作目の全米1位獲得アルバムとなりました。先行シングル「ザ・リヴァー・オブ・ドリームス」は全米3位・全英3位に達する大ヒットを記録しました。第2弾シングル「君が教えてくれるすべてのこと」には、カラー・ミー・バッドがゲスト参加し、全米29位・全英32位を記録。さらに、アメリカでは「眠りつく君へ」（全米77位）、イギリスでは「ノー・マンズ・ランド」（全英50位）もシングルカットされました。

ワールドツアーとエルトン・ジョンとのジョイントツアー

本作に伴うワールドツアーの前半を終えた後、ビリーはエルトン・ジョンとのジョイントツアーを行いました。

収録曲

全曲ビリー・ジョエルによる作詞作曲です。

1. ノー・マンズ・ランド - "No Man's Land"
2. グレート・ウォール・オブ・チャイナ - "The Great Wall of China"
3. ブロンド・オーヴァー・ブルー - "Blonde Over Blue"
4. 憂鬱なヴァリエーション - "A Minor Variation"
5. 見えないのは真実 - "Shades of Grey"
6. 君が教えてくれるすべてのこと - "All About Soul"
7. 眠りつく君へ - "Lullabye (Goodnight, My Angel)"
8. ザ・リヴァー・オブ・ドリームス - "The River of Dreams"
9. 2千年もの果てに - "Two Thousand Years"
10. ラスト・ワーズ - "Famous Last Words"

参加ミュージシャン

ビリー・ジョエル - ボーカル、ピアノ、ハモンドオルガン、シンセサイザー、クラビネット
ダニー・コーチマー - ギター
トミー・バーンズ - ギター
T.M.スティーヴンス - ベース
ザッカリー・アルフォード - ドラムス
ジェフ・ジェイコブス - シンセサイザー、プログラミング

その他多くのミュージシャンが参加しています。

『リヴァー・オブ・ドリームス』は、ビリー・ジョエルのキャリアの中でも重要な作品であり、彼の音楽性を深く理解するための必聴アルバムと言えるでしょう。

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