リーキ (種)

リーキ：多様な姿と歴史を持つネギ属の植物

リーキ（学名: Allium ampeloprasum）は、ネギ属に属する植物です。一般的には「野生のリーキ」や「葉の広い野生のリーキ」として知られており、その原産地は南ヨーロッパから西アジアにまで及びます。しかし、その栽培や帰化は世界中に広がり、現在では多くの地域で生育しています。

地中海沿岸地域、特にポルトガルからエジプト、ルーマニアにかけての地域では、古くから自生していたと考えられています。一方、ロシアやウクライナ（クリミア半島を除く）では、外来種として認識されています。さらに、エチオピア、ウズベキスタン、イラン、イラクなど、様々な地域で野生種が見られます。

帰化している地域はさらに広範囲に及び、イギリス、アイルランド、チェコ共和国、バルト三国、アゾレス諸島、マデイラ諸島、カナリア諸島、アルメニア、アゼルバイジャン、パキスタン、中国、オーストラリア（一部地域を除く）、メキシコ、ドミニカ共和国、プエルトリコ、ハイチ、アメリカ合衆国（南部、カリフォルニア州、ニューヨーク州、オハイオ州、イリノイ州など）、ガラパゴス諸島、アルゼンチンなど、多様な環境に適応して生育していることがわかります。アメリカ合衆国バージニア州のヨーク郡では、「ヨークタウン・オニオン」と呼ばれ、法律によって保護されている地域もあります。

考古学的証拠からは、リーキは先史時代からグレートブリテン島に持ち込まれ、イングランド南西部やウェールズの海岸沿いの岩場などに自生していることが示唆されています。

Allium ampeloprasumは、長い栽培の歴史の中で、リーキ、ジャンボニンニク、パールオニオン、クラト（エジプトリーキ、サラダリーキとも呼ばれる）、ペルシャリーキなど、5つの主要な栽培品種へと分化しました。

野生種のリーキは、最大3cm程度の球根を持ちます。花茎は円柱形で、最大180cmの高さにまで成長し、500個もの花からなる散形花序を形成します。花はつぼ型で、直径は最大6mm。花びらは白、ピンク、または赤色で、葯は黄色または紫色、花粉は黄色という特徴を持っています。

さまざまなリーキの仲間

Allium ampeloprasumには、様々な食用となる品種が含まれます。その中でも特に重要なのは以下の通りです。

リーキ: 一般的にリーキとして知られる品種。
ジャンボニンニク: 大きな球根が特徴の品種。
パールオニオン: 小粒の球根が特徴の品種。
クラト（エジプトリーキ、サラダリーキ）: 小さな球根を持ち、葉の部分を主に食用とする品種。
ペルシャリーキ (Allium ampeloprasum ssp. persicum)*: 中東、特にイラン原産で、ペルシャ語では「tareh」と呼ばれます。細長い緑色の葉は、弱いタマネギの香りを持ち、生で食べられます。単独で、または他の料理の材料として利用されています。

リーキは、その多様な形態と長い歴史、そして世界各地での栽培を通じて、人々の食文化に深く関わってきた植物であると言えるでしょう。

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