リード・ダンス

リード・ダンス（ウムランガ）とは

リード・ダンス（Reed Dance）、スワジ語ではウムランガ（Umhlanga）として知られる祭りは、エスワティニ王国で毎年8月から9月にかけて開催される、スワジ族の伝統的な祭りです。この祭りは、未婚で子供のいないスワジ人の少女たちが、全国から王母（インドロヴカジ、Indlovukazi）のもとに集まり、王家への忠誠心を示すと同時に、女性同士の連帯を深めることを目的としています。

祭りの概要

ウムランガには、エスワティニ全国から数万人の少女たちが参加します。2008年には7万人の参加者が記録されています。少女たちは王家の村であるLudzidziniに集結し、8日間にわたる祭りが繰り広げられます。ただし、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響により開催が見送られました。

祭りのハイライトは、少女たちが葦（Reed）を刈り、王母に捧げる儀式です。上半身裸に伝統的な衣装や飾りを身につけた少女たちは、歌い踊りながら行進し、刈り取った葦を王母へと捧げます。この葦は、宮殿の修復など様々な用途に用いられます。

儀式の詳細

葦を捧げた翌日、少女たちは伝統的な衣装を身につけ、ビーズのネックレスや繭でできたアンクレットなどの装飾品をつけ、ブッシュナイフを手に持ち、歌い踊りながら行進します。これは、彼女たちの処女性を象徴するものです。また、ウムカショと呼ばれる房飾りを身につけます。ウムカショの色は純潔を表し、青は児童、黄は少女、赤は成人女性を意味します。

この儀式には、王母や国王をはじめとするスワジの首脳陣が列席し、踊りを鑑賞します。一般市民や観光客もこの祭りを見学することができます。パレードの後には、選ばれたグループが会場中央で特別なパフォーマンスを披露します。国王の娘たちもこの儀式に参加し、王家の印である赤い羽根飾りをつけて踊ります。

祭りの目的と現代的な意義

ウムランガの主な目的は、未婚女性たちが共同作業を通じて王家への忠誠心を示し、女性間の連帯を深めることです。近年、エスワティニではエイズ感染が深刻な問題となっており、人口の約40%がHIVに感染しています。そのため、国王は祭りの際に演説を行い、エイズ予防や未成年者の性交禁止を訴えることが恒例となっています。

批判的な側面

一方で、エスワティニ国王ムスワティ3世は、この祭りの参加者の中から毎年新しい妻を娶ることで知られています。この慣習は、特に海外から、国の現状や国王の演説内容との矛盾を指摘されることがあります。

ウムランガは、スワジ族の文化と伝統を色濃く反映した祭りであり、多くの人々を魅了し続けています。しかし、その一方で、現代社会における課題や批判的な視点も存在することを理解しておく必要があります。

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