ムスワティ3世

ムスワティ3世の生涯と統治

ムスワティ3世（本名: マコセティブ・ドラミニ）は1968年4月19日にエスワティニで生まれた。彼の誕生はイギリスからの独立直前であり、その後、国王としてのキャリアを歩むことになる。

青年期

青年期、ムスワティは王立学校で教育を受け、スワジランド軍の士官候補生として訓練を受けた。1982年に父であるソブーザ2世が他界すると、ムスワティは国王に推戴され、1983年には王太子として知られることになる。彼は国王としての教養を得るために英国に留学し、その間、父の妃たちが摂政として国務を代行した。

国王即位

1986年4月25日、ムスワティはわずか18歳で国王に即位した。当時、彼は世界で最も若い国家元首として知られ、その国王即位式においては日本の中曽根首相に「日本国王ナカソネ」と宛てた招待状が話題になった。彼は現在、アフリカ最後の絶対君主とされており、最高の権限を持って国政を統治している。議会を復活させたものの、立法権は国王自身にあり、実際の行政権は首相が握っている。しかし首相も王室の人間が就任することが一般的であり、国王の影響は絶大である。

圧政への批判

2004年には新憲法を制定し、言論や集会の自由を認める方針を示したものの、同時に政権に対する反対勢力を厳しく取り締まるなど、矛盾した政策が目立つ。特に、ムスワティの権力を強化し体制を永続化することを目的とするなどとの批判を受けている。また、彼は人権活動団体からも厳しい目で見られており、特に反対派の不当逮捕や報道の自由を制限する取り組みに対しての非難も強い。

さらに、彼は約1/3の国民が貧困層である現実を無視し、自らの贅沢な生活を維持するために王室費や国家予算を無駄に使っているとされている。複数の宮殿を建設したり、自家用のセスナ機や高級車を購入したことが問題視されているのだ。

社会的問題と風潮

2001年にはHIV/AIDSの蔓延を食い止めるために性行為を禁止すると宣言したが、その直後には実際に新たな王妃を選び、性行為を行ったとして非難が集中。彼はまた、毎年開催されるリード・ダンスという儀式でも一定の伝統を維持しており、近年では7万人以上の参加者が果たしている。

さらに、いまだ彼の王政の下で多くの人権侵害が報告されており、特に若い女性を王妃として決定する過程には疑念が残る。2002年には18歳の少女を誘拐して王妃にしたとして国際的な非難を浴びた。

外交活動と家族構成

ムスワティ3世は、国外での外交活動も行っており、2019年には日本を訪問し、安倍首相との会談や天皇の即位式に参加した。他国との関係性を深める努力も行っている。

家庭面では、ムスワティは15人の妻と45人の子供を持つ。王位継承に関しては、先代の王妃や王室諮問評議会によって選ばれる仕組みとなっている。最近、2024年には南アフリカの元大統領の娘と婚約するなど、その話題も注目を集めている。

合間に考えること

2021年には国民による民主化要求のデモが激化し、ムスワティは一時国外逃亡の噂が立つ中、再びその政権を維持し続けている。このように、彼の統治下にあるエスワティニは、依然として矛盾に満ちた運命にあると言えるだろう。

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