リー・ヘイズルウッド

リー・ヘイズルウッド（Lee Hazlewood、1929年7月9日 - 2007年8月4日）は、アメリカのシンガーソングライター、音楽プロデューサーとして、その独特な才能で音楽史に名を刻みました。彼はナンシー・シナトラとのコラボレーションによる大ヒット曲「にくい貴方」の作者として、広く知られています。

生い立ちと初期のキャリア

1929年、オクラホマ州マンフォードで生まれたヘイズルウッドは、テキサス州ポート・ネチェスで育ちました。彼の音楽的なルーツは、スタン・ケントンやジョニー・マーサーといったアーティストに影響を受けています。南メソジスト大学で薬学を学んだ後、朝鮮戦争にアメリカ陸軍兵士として従軍。退役後、アリゾナ州フェニックスに移り住み、クーリッジのラジオ局でディスクジョッキーとしてキャリアをスタートさせました。

ヘイズルウッドの作曲家としての才能は、サンフォード・クラークが歌った「The Fool」（1956年）がチャートのトップ10入りを記録したことで開花しました。また、ギタリストのデュアン・エディに「Rebel Rouser」などの楽曲を提供し、その音楽的才能を発揮しました。

ソロ活動とナンシー・シナトラとの出会い

1963年、ヘイズルウッドは初のソロ・アルバム『Trouble Is a Lonesome Town』を発表。その後、カリフォルニア州ロサンゼルスに移り住み、フランク・シナトラの依頼で娘のナンシー・シナトラとの仕事を開始しました。この出会いが、彼のキャリアにおける重要な転換点となります。ナンシーの「にくい貴方」は、アメリカとイギリスのチャートで1位を獲得し、ヘイズルウッドの代表作となりました。2人はデュオとして3枚のアルバムを制作し、音楽的なパートナーシップを深めました。

LHIレーベルと実験的な音楽への挑戦

1968年、ヘイズルウッドは自身のレーベルLHIを設立。グラム・パーソンズのインターナショナル・サブマリン・バンドのアルバムをリリースするなど、新たな才能の発掘にも貢献しました。LHIからは、ヘイズルウッド自身の作品も発表され、彼の音楽的な探求を支える基盤となりました。

成功の絶頂期にあったヘイズルウッドは、1970年代にスウェーデンに移住し、数々の実験的なソロ・アルバムを発表しました。この時期、彼はヨーロッパとアメリカを行き来しながら、音楽的な実験を続けました。

後期と遺産

1978年以降、ヘイズルウッドは音楽活動を一時休止しましたが、1993年に復帰。再びアメリカを拠点に活動を再開しました。2007年8月4日、彼は腎臓がんによりネバダ州ヘンダーソンで逝去。78歳でした。2006年に発表されたアルバム『Cake or Death』が、彼の最後の作品となりました。

リー・ヘイズルウッドは、その独特な音楽性と才能で、数多くのアーティストに影響を与えました。彼の作品は、今日でも多くの音楽ファンに愛され続けています。

ディスコグラフィー(一部抜粋)

Trouble Is a Lonesome Town (1963年)
The Very Special World of Lee Hazlewood (1966年)
Nancy & Lee (1968年) (ナンシー・シナトラとの共作)
Cowboy in Sweden (1970年)
* Cake or Death (2006年)

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