ルイス・ザンペリーニ

ルイス・ザンペリーニの生涯：オリンピック選手から戦争捕虜へ

ルイス・ザンペリーニ（Louis Zamperini, 1917年1月26日 - 2014年7月2日）は、アメリカ合衆国の陸上競技選手であり、第二次世界大戦の英雄です。彼の人生は、スポーツでの成功、戦争の苦難、そして不屈の精神によって彩られています。

陸上選手としての輝かしいキャリア

ザンペリーニは、長距離走の選手として、1936年のベルリンオリンピックにアメリカ代表として出場しました。5000メートル競走では8位入賞を果たし、その際、最終ラップを56秒という驚異的なスピードで駆け抜けました。その才能は、アドルフ・ヒトラーの目に留まり、レース後には直接言葉を交わしたというエピソードも残っています。

第二次世界大戦での試練

1941年9月、ザンペリーニはアメリカ陸軍航空隊に入隊し、B-24爆撃機の搭乗員として戦地に赴きました。しかし、1943年5月27日、僚機の捜索任務中に搭乗機がエンジン故障を起こし、太平洋上に不時着。ザンペリーニは、他の搭乗員とともに救命ボートで漂流するという過酷な状況に置かれます。47日間に及ぶ漂流の後、彼らは日本海軍に捕らえられ、捕虜としての生活を送ることになりました。

捕虜収容所での苦難

ザンペリーニは、マーシャル諸島の島で尋問を受けた後、1943年9月13日に大船の横須賀海軍警備隊植木分遣隊（大船収容所）に収容されました。大船収容所は、捕虜からの情報収集を目的とした仮収容所であり、国際赤十字にも収容者の存在は通知されませんでした。そのため、ザンペリーニの捕虜としての状況はアメリカには伝わらず、彼は行方不明として扱われ、1944年6月には陸軍航空隊が死亡を公式発表する事態となりました。

1944年9月、ザンペリーニは東京都の大森捕虜収容所に移送され、そこで初めて正規の戦争捕虜として扱われることになります。しかし、彼の苦難は終わりませんでした。日本側は、知名度のあるザンペリーニをプロパガンダに利用しようと画策し、1944年11月に対米宣伝放送に出演させました。ザンペリーニは自ら用意した原稿を読み上げ、これによりアメリカでは彼の生存が確認されました。しかし、再度の放送で日本側のプロパガンダ原稿を読むことを拒否したため、1945年3月に直江津捕虜収容所（東京俘虜収容所第四分所）に移送され、そこで終戦を迎えることになります。

戦後の人生と不屈の精神

帰国後、ザンペリーニは自らの捕虜体験を記した著書『DEVIL AT MY HEELS』を刊行し、その壮絶な体験を語りました。1998年には、長野オリンピックの聖火ランナーとして来日し、かつて収容されていた直江津収容所のあった上越市内を走りました。

2010年には、ローラ・ヒレンブランドによるザンペリーニの伝記『不屈の男 アンブロークン』が出版され、ベストセラーとなりました。彼の人生は、2014年にアンジェリーナ・ジョリー監督によって映画化され、世界中の人々に感動を与えました。

2014年7月2日、ルイス・ザンペリーニは肺炎のため、ロサンゼルスの自宅で亡くなりましたが、彼の不屈の精神は、今もなお多くの人々に勇気を与え続けています。

もう一度検索