ルイ・エドモン・デュランティ

ルイ・エドモン・デュランティ：写実主義と印象派の狭間で生きた作家・美術評論家

ルイ・エドモン・デュランティ（1833年5月5日 - 1880年4月9日）は、19世紀フランスの文学と美術の世界で独自の足跡を残した人物です。作家、そして美術評論家として活動し、写実主義・自然主義文学の潮流に身を投じながら、印象派の画家たちをいち早く評価し、擁護しました。

生涯

デュランティは、作家プロスペル・メリメの私生児であるという噂の中で育ちました。パリのコレージュ・シャプタルで短期間学んだ後、1856年にジュール・アセザ、ジャン＝バティスト＝アンリ・テュリエとともに月刊誌『レアリスム』を創刊しますが、わずか6号で廃刊となります。しかし、この雑誌での活動を通じて、彼は写実主義文学への傾倒を深めていきました。

1860年代には、自然主義・写実主義的な小説をいくつか発表し、『アンリエット・ジェラールの不運』（1860年）、『好男子ギヨームの主張』（1862年）などが知られるようになります。これらの作品は、当時の社会や人々の生活をリアルに描き出すことを目指したものでした。

デュランティは人形劇にも情熱を注ぎ、1861年にはテュイルリー庭園に人形劇場を作る許可を得ます。友人たちの協力を得ながら、人形、舞台、台本の制作に没頭しました。

美術評論家としての活動

デュランティは、カフェ・ゲルボワやカフェ・ド・ラ・ヌーヴェル・アテーヌといったパリのカフェに出入りし、美術評論家のシャンフルーリや画家のギュスターヴ・クールベと交流を深めます。1863年には、エミール・ゾラと知り合い、ゾラの紹介でエドゥアール・マネやエドガー・ドガといった前衛的な画家たちと親しくなりました。

1870年、『パリ・ジャーナル』誌上で、ドミニク・アングルに代表されるアカデミズム絵画を批判し、若い画家たちを称賛する記事を発表します。しかし、同年、マネの作品に関する批評がきっかけで、マネがデュランティを攻撃するという事件が起こります。この事件は決闘にまで発展しましたが、わだかまりは解消され、2人の友情はその後も続きました。

1876年には、第2回印象派グループ展について書いたパンフレット『新しい絵画：デュラン＝リュエル画廊で展示会を行った画家のグループについて』を発表し、印象派を真剣に取り上げた最初の評論家の一人となります。デュランティにとって、印象派の代表格は友人であったドガでした。

1879年、『クロニク・デザール』誌に発表した論文「独立派の画家のグループによる第4回展覧会」では、前衛的芸術の興隆についてより洗練された見方を提示しています。彼は、マスコミが多用した「印象派」という言葉を避け、「新しい絵画」と呼ぶことを好みました。

参考文献

* 島田紀夫『印象派の挑戦――モネ、ルノワール、ドガたちの友情と闘い』小学館、2009年。ISBN 978-4-09-682021-6。

デュランティは、文学と美術の両面で、時代の変化を敏感に捉え、新しい才能を擁護した人物でした。彼の活動は、19世紀フランスの文化史を理解する上で重要な意味を持っています。

もう一度検索