ルイ・デジレ・ベゾッツィ

ルイ・デジレ・ベゾッツィ

ルイ・デジレ・ベゾッツィ（Louis Désiré Besozzi、1814年4月3日 - 1879年11月11日）は、19世紀フランスで活動した作曲家、ピアニスト、そしてオルガニストです。彼は、長きにわたりヨーロッパ各地で楽器奏者として名を馳せた著名な音楽家一族の四代目として生まれましたが、その音楽的才能は、伝統的な吹奏楽器ではなく、主にピアノと声楽のための作品、特に合唱曲の創作に向けられました。生涯にわたり、彼は教育者としても重要な役割を果たしました。

ベゾッツィの音楽的ルーツは、イタリアに遡る芸術家一家にあります。この一族は、トリノ、ナポリ、ドレスデンといった主要都市で器楽奏者として高く評価されていました。彼の高祖父であるジュゼッペ・ベゾッツィはパルマでオーボエ奏者として活躍し、曾祖父ガエターノ・ベゾッツィは、まずナポリの宮廷、そして後にヴェルサイユの教会でオーボエを演奏しました。さらに祖父ジロラモ・ベゾッツィはフランス国王の宮廷オーボエ奏者を務め、父ヘンリ・ベゾッツィはパリのオペラ＝コミック座でフルート奏者でした。このように、ベゾッツィは輝かしい管楽器奏者の系譜に連なる存在でしたが、彼自身の道は異なります。

彼は1825年7月18日、若くしてパリ音楽院に入学し、本格的な音楽教育を受け始めました。ピアノをオーギュスト・バルベローに、そして作曲を著名なジャン＝フランソワ・ル・スュールに師事し、才能を開花させました。音楽院在学中、彼は度々優れた成績を収め、複数の賞を獲得しました。特に重要なのは、1837年に権威あるローマ大賞を受賞したことです。この受賞により、彼はローマのヴィラ・メディチにある在ローマ・フランス・アカデミーへ留学する機会を得ました。ローマ滞在中、彼は画家ドミニク・アングルや作曲家シャルル・グノー、彫刻家ドミニク・パプティといった当時の著名な芸術家たちと交流を深め、自身の芸術観をさらに広げました。

教育者としてのキャリアもベゾッツィの生涯の重要な部分を占めます。彼は1831年からパリ音楽院でソルフェージュ講座を引き継ぎ、学生たちの基礎音楽能力の向上に尽力しました。その後、ルイス・ニーデルマイヤーが主宰する「古典・宗教音楽学校」（Ecole de musique classique et religieuse）でピアノ教師を務めました。このポストは、後に高名な作曲家カミーユ・サン＝サーンスが1865年に引き継ぐことになります。彼は晩年、大衆音楽の普及と指導にも熱意を燃やし、orfeónic協会（合唱協会のような組織）の発展に貢献しました。この活動の一環として、協会のための「ソルフェージュ、練習曲と学習法」といった教育資料を作成・執筆しています。

オルガニストとしての顔も持ち合わせていましたが、そのキャリアは限定的でした。1852年、彼はパリのサン＝ヴァンサン＝ド・ポール教会に設置された壮麗なオルガン（1845年にアリスティド・カヴァイエ＝コルによって建造）のオルガニストの後任候補となりました。前任のルイ・ブライユから引き継ぐ形で、1852年1月26日のオルガン除幕式典にも出席しましたが、最終的に幾人かの候補者の中からヨハン・ペーター・カヴァッロが主任オルガニストに選ばれたため、この分野での華々しい活動は実現しませんでした。

ベゾッツィの主要な作品としては、ピアノのための『12の性格的練習曲集 Op.19』や、合唱曲『L'Hymne du Matin』などが挙げられます。彼はまた、合唱のための大規模な練習曲集を4巻にわたって編纂するなど、教育的な視点からの作品も多く遺しています。伝統ある音楽家一族の出身ながらも、自身の専門分野としてピアノと合唱を選び、作曲家および教育者として音楽界に貢献したルイ・デジレ・ベゾッツィは、1879年11月11日にパリでその生涯を終えました。

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