ルキウス・ウィテッリウス

ルキウス・ウィテッリウス・ウェテリスは、紀元前5年以前に誕生し、西暦51年にその生涯を閉じた、ユリウス＝クラウディウス朝期のローマ帝国における重要な政治家です。彼は、元首を除いては唯一、3度も執政官に選出された人物であり、その政治的影響力は非常に大きなものでした。彼のキャリアは、クァエストル（財務官）を務めた父プブリウス・ウィッテリウスの息子として始まり、4人兄弟の末っ子として育ちました。

ウィテッリウスの政治家としての最初の大きな転機は、ティベリウス帝治世下の34年に執政官に選出されたことです。この時、彼はローマ帝国の最高位の官職の一つを手に入れました。その後、35年にはシリア属州の総督に任命され、帝国の東方における行政を担いました。さらに、36年からは、ポンティウス・ピラトゥスの後任としてユダヤ属州の総督を務め、この地域の統治に携わりました。これらの経験を通じて、ウィテッリウスは政治家としての手腕を磨き、その名をローマ帝国中に知らしめました。

カリグラ帝の時代には、彼はカリグラを神として崇め、その機嫌を取ることで、皇帝からの信頼を得ることに成功しました。このような柔軟な姿勢は、彼の政治的立場をより強固なものにしました。クラウディウス帝の時代に入ると、ウィテッリウスは皇帝の王妃メッサリナからの信任も得て、その権勢をさらに拡大しました。彼は43年と47年の二度にわたり執政官に再任され、これは彼の政治的影響力の大きさを物語っています。また、皇帝がブリタニア遠征に出ている間は、ローマを任され、帝国内における重要な役割を果たしました。メッサリナが失脚し、小アグリッピナがクラウディウスの新たな王妃となった後も、ウィテッリウスの影響力は衰えることなく、48年（または49年）にはケンソル（監察官）にも任命されました。

しかし、彼の政治的成功は長くは続きませんでした。元老院から反逆罪で告発され、訴訟中の51年に脳卒中で急死しました。彼の死は、その影響力の大きさを考えると、ローマ社会に大きな衝撃を与えました。しかし、彼の死後、ウィテッリウスへの告訴は取り下げられ、その功績を讃え国葬が執り行われました。これは、彼がローマ帝国においていかに重要な人物であったかを示すものです。

ウィテッリウスには2人の息子がおり、そのうちのアウルスは69年にローマ皇帝に即位しました。もう一人の息子、同名のルキウスは48年に執政官に選出されており、ウィテッリウス家の政治的影響力の大きさを物語っています。ルキウス・ウィテッリウス・ウェテリスの生涯は、その政治的な成功と晩年の波乱を通じて、ローマ帝国の激動期を象徴する物語として、後世に語り継がれています。彼の生涯は、ローマ帝国の政治がいかに複雑で、時に残酷であったかを示す証左とも言えるでしょう。

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