ルキウス・タルクィニウス・コッラティヌス

ルキウス・タルキニウス・コッラティヌスの生涯

ルキウス・タルキニウス・コッラティヌスは、紀元前6世紀頃に活躍した古代ローマの著名な人物です。彼は共和政ローマの樹立に大きく寄与した人物の一人であり、特に彼の妻であるルクレティアの事件が、ローマの政治体制の重要な転換点となりました。これにより、彼と友人のルキウス・ユニウス・ブルトゥスは、共和政の初代コンスルとしての地位を得ました。

共和政の樹立

物語は、ローマ最後の王タルクィニウス・スペルブスの息子、セクストゥス・タルキニウスが、コッラティヌスに対して妻を比較する余興を持ちかけたところから始まります。セクストゥスの妻たちがローマで日々を楽しんでいる一方、コッラティヌスの妻、ルクレティアは家庭を大切にし、召使いたちと共に糸を紡ぐ生活を送っていました。この姿に惹かれたセクストゥスは、後日、彼女に対して残忍な行為を行います。ルクレティアはこの暴力的な侵害に耐えへず、親族を呼び寄せ、復讐を誓った後に自ら命を絶ってしまいます。この悲劇は、彼女を深く愛していたコッラティヌスにとっては耐え難いものであり、彼は友情と忠誠をもって、この事件の復讐を決意します。

コッラティヌスは、友人であるブルトゥスやルクレティウスと共に、タルクィニウス一族に対する反乱を起こし、ついに彼らをローマから追放します。この結果、共和政の樹立が実現し、ブルトゥスがその初代執政官となり、コッラティヌスも初代プラエトル（後にコンスルの職に移行）として選出されることになりました。

執政官としての活動

執政官に就任したコッラティヌスでしたが、彼の姓である「タルクィニウス」が前王の名を思い起こさせるため、人々から辞任を求められることになります。周囲の圧力は強く、特に舅であるルクレティウスからの説得を受けて、コッラティヌスはついに辞任する決断を下しました。彼はこの名が引き起こす不安を避けるため、ローマを去ってラヌウィウムという地に移り住むこととなります。

コッラティヌスの辞任後、プブリウス・ウァレリウス・プブリコラが初の補充執政官として選出され、ローマの政治の舵取りを引き継ぎました。これにより、共和政は安定した基盤を持つことができたのです。

コッラティヌスの物語は、古代ローマにおける権力の移譲や、正義の追求がどのようにして行われたのかを考察する上で重要な事例です。彼は自己の名誉や過去に縛られることなく、新しい政治体制を支えるために身を引くという判断を下し、その結果としてローマは新たな歴史の一歩を踏み出すことができました。

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