プブリウス・ウァレリウス・プブリコラ

プブリウス・ウァレリウス・プブリコラ

プブリウス・ウァレリウス・プブリコラ（Publius Valerius Publicola）は、共和政ローマの初期に活躍した著名な政治家で、歴史的には半伝説的な存在とされています。彼は、紀元前509年に王を追放し、ローマの共和政樹立に重要な役割を果たしました。その後も彼は執政官として複数回選出されるなど、民衆の支持を受けて活動しました。彼の名「プブリコラ」は「民衆の友」という意味を持ち、彼の温情ある性格を象徴しています。

共和政の樹立

ウァレリウス氏族はサビニ人に由来し、祖先がローマに移り住んでから世代を重ねてきました。若い頃から彼は優れた弁舌と正義感で知られ、温情を持って人々に接したことから、幅広い支持を得ていました。彼はブルトゥスと共に、最後の王タルクィニウス・スペルブスの息子であるセクストゥスによって引き起こされたルクレティアの悲劇をきっかけに、政権に対する強い抵抗を示します。二人は共に王政の終焉に向けた闘争に参画し、王族を追放することで共和政の樹立に寄与しました。

共和政下の業績

ウァレリウスが執政官となってから、彼はタルクィニウスの復位を狙う陰謀に直面しました。王は若い貴族を扇動し、内通者を作り出しましたが、ウァレリウスの友好な性格から奴隷が彼に真実を告白しました。この情報を受けた彼は、ブルトゥスと共にタルクィニウスの攻撃に備え、それに成功します。この戦いはシルウァ・アルシアの戦いと称され、激しい戦闘の末にこそローマが勝利を収めました。

戦争後、ウァレリウスは執政官としての権力を強化しつつ、自らの屋敷を建設し始めましたが、これが民衆に王位を妄想しているとの疑惑を生む事態となりました。彼はこれを受けてすぐに自らの屋敷を解体し、民権を守るような新たな法律を制定しました。これにより彼はプブリコラの称号を受け、さらなる人気を得ることとなります。

続く執政官選挙では、ブルトゥスの後任として他の候補者が選出されましたが、その後もウァレリウスは安定した政局を築いていきます。

ポルセンナとの戦い

紀元前508年には再度執政官となり、タルクィニウスの復位を目指すエトルリアの王、ラルス・ポルセンナの軍に対抗します。ウァレリウスは指揮官としてローマ軍を率い、スカエウォラやホラティウスの活躍もあり、ポルセンナを撃退することに成功しました。その後も彼は執政官として政務に携わります。

翌年、ポルセンナからタルクィニウスを復位させるようにとの使節が派遣されると、ローマ側はこれを強く拒否しました。ポルセンナはこれを了承し、タルクィニウスはトゥスクルムに亡命することとなります。

四度目の執政官

紀元前504年、ウァレリウスは四度目の執政官に選出され、穏健派で孤立しつつあったサビニ人をローマに移住させる活動を行います。また、サビニ人とウェイイに勝利を収め、これが二度目の凱旋式につながります。

死後の影響

彼は紀元前503年に亡くなり、その葬儀は国庫から賄われました。ウァレリウスの死後、彼を惜しむ声が多く上がり、彼が王の権力を持ちながらも民主的な政治を志向し続けたことが評価されました。プルタルコスはその著作の中でプブリコラの名を挙げ、彼を「羨むべき幸福なもの」と称賛しています。

また、1787年から1788年にかけて、アメリカ建国の父たちが行った「フェデラリスト・ペーパー」の執筆において、彼の名がペンネームとして使用されたことは、彼の歴史的影響を示しています。プブリコラはローマ市民の権利と自由を守り、共和政の樹立に貢献した偉大な人物として、今に語り継がれています。

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