ルキウス2世 (ローマ教皇)

ルキウス2世は、12世紀にローマ教皇を務めた人物で、その在位期間は1144年3月12日から1145年2月15日と短いものでした。彼は、イタリアのボローニャで生まれ、最初はルッカで教会法学者として活躍しました。その高い知識と能力が認められ、1124年には教皇ホノリウス2世によって司祭枢機卿に叙任されました。

その後、ルキウス2世は教皇庁での活動を始めます。1125年から1126年までドイツの教皇使節を務めた後、教皇庁に勤務し、インノケンティウス2世のもとで侍従や司書といった要職を歴任しました。これらの経験を通じて、彼は教皇庁の実務に精通し、その運営を支える重要な役割を担いました。1144年3月、先代のケレスティヌス2世が死去したことを受け、ルキウス2世は第166代ローマ教皇に選出されました。

しかし、教皇としての彼の道のりは平坦ではありませんでした。当時のローマでは、政治集団であるコミューンが勢力を拡大しており、ルキウス2世は彼らとの対立に直面しました。コミューンは、対立[[教皇]]アナクレトゥス2世の兄弟であるジョルダーノ・ピエルレオーニを代弁者としており、教皇の権威に公然と挑戦していました。ルキウス2世は、この状況を打開するため、ドイツ王コンラート3世やシチリア王ルッジェーロ2世に支援を要請しましたが、これらの試みは失敗に終わりました。

支援が得られなかったルキウス2世は、自らの軍隊を組織し、コミューンの拠点であるカピトリウムへの襲撃を指揮することを決意しました。しかし、この戦いの最中、彼は敵の投石によって重傷を負い、その傷がもとで間もなく死去しました。自ら軍を率いたことから、ルキウス2世は「軍人教皇」と呼ばれることもあります。彼の短い教皇在位期間は、当時の政治的混乱と教皇権の脆弱さを示すものとなりました。教皇としての彼の業績は、その短い期間のために多くを語ることはできませんが、彼の生涯は、当時の教会と政治の複雑な関係を映し出す鏡と言えるでしょう。

参考文献
『キリスト教人名辞典』日本基督教団出版局、1986年。
P.G.マックスウェル・スチュアート著、月森左知・菅沼裕乃訳、高橋正男監修『ローマ教皇歴代誌』創元社、1999年。
マシュー・バンソン著、長崎恵子・長崎麻子訳『ローマ教皇事典』三交社、2000年。
学校法人 上智学院 新カトリック大事典編纂委員会編『新カトリック大事典 第4巻』研究社、2009年。

もう一度検索