ルクセンブルクのシギスムントの肖像

『ルクセンブルクのジギスムントの肖像』は、イタリア後期ゴシック期の巨匠ピサネッロに帰属される板上のテンペラ画で、1432年から1433年頃に制作されたと推測されています。現在、この作品はオーストリアのウィーンにある美術史美術館に展示されており、神聖ローマ皇帝ジギスムントの姿を捉えています。

肖像画は、ジギスムント王がマントヴァを訪れ、ジャン・フランチェスコ・ゴンザーガに侯爵の称号を授与した際に制作された可能性があります。1431年10月、ジギスムント王はミラノのフィリッポ・マリア・ヴィスコンティの宮廷に滞在するためイタリアに渡り、ロンバルディアの鉄王冠を授かりました。その後、ルッカやシエナにも滞在し、1433年5月31日にはローマで教皇エウゲニウス4世によって神聖ローマ皇帝として戴冠しています。

この肖像画は、公式な地位を示すものとして制作され、その後数回複製されました。1451年には、ピエロ・デッラ・フランチェスカがこの作品に触発され、リミニのマラテスティアーノ寺院にあるフレスコ画『聖シギスムントの前で祈るシジスモンド・パンドルフォ・マラテスタ』で、ジギスムントの姿を描きました。この作品では、ピエロは肖像画と同じ帽子を毛皮の詰め物なしで描いています。

『ルクセンブルクのジギスムントの肖像』は、元々神聖ローマ帝国のコレクションの一部であり、インスブルック近郊のアンブラス城にあったフェルディナント2世（オーストリア大公）の邸宅に所蔵されていました。その後、美術史美術館に移管されました。

この作品がピサネッロの作であるという根拠の一つとして、パリのルーヴル美術館に所蔵されている、ピサネッロによる皇帝の素描が挙げられます。この素描には、肖像画と同じ帽子を被った皇帝が描かれています。しかしながら、この作品の帰属については異論もあり、過去にはザルツブルクの画家コンラート・ライプ、またはボヘミアの画家の作品であるという説も存在しました。

参考文献として、以下の資料が挙げられます。
* Ventura, Leandro (1996). "Pisanello". Art dossier. Turin: Giunti (113).

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