ルスダン

ルスダン：グルジア王国の女王の生涯

ルスダン（Rusudan）は、グルジア王国の女王として1223年から1245年の間に在位しました。彼女は、女王タマルとオセット人のダヴィト・ソスランの間に生まれ、兄にはグルジア王ギオルギ4世がいます。ルスダンの治世は、モンゴル軍の侵攻に直面し、彼女の政治的判断が試される時期でもありました。

モンゴル侵攻の時代

ルスダンが女王となった当時、モンゴル軍がすでにルーシ地域に侵攻を始めていました。その影響はグルジア王国にも及び、彼女の兄ギオルギ4世は、国を挙げて抵抗を決意しました。しかし、彼は1221年にモンゴル軍との戦いで重傷を負い、1222年には命を落としました。この事件は、キリスト教文明圏における初めての大規模なモンゴル軍の攻撃を象徴しています。この時期、グルジアはモンゴルの軍事力に対抗することができず、国は混乱に陥ります。

女王ルスダンの統治

ギオルギ4世の死後、ルスダンは王位を継承しましたが、彼女には国政に関する十分な経験がありませんでした。弱体化した国を前に、ルスダンは厳しい状況の中で治世を始めざるを得ませんでした。モンゴルが一時的にコーカサス山脈の北へ去った際、ホラズム・シャー朝のジャラールッディーンがグルジアに侵攻し、1226年には首都トビリシを占領してしまいます。ジャラールッディーンは、自身を「イスラム世界の防衛者」と称し、モンゴル軍に対抗しようとしましたが、グルジアは再び危機に直面しました。

力のない女王

1236年から始まったジョチの子バトゥによるヨーロッパ遠征では、再びグルジアにもモンゴルの攻撃が加わりました。チョルマグン率いるモンゴル軍は、グルジアに追撃をかけ、ルスダンは西部への避難を強いられました。この期間、多くの貴族が滅ぼされ、残った者たちは盾となり、モンゴルに税を支払うことを余儀なくされました。しかし、幸運にもモンゴル軍はスラミ山脈を越えず、ルスダンは一時的に危機を脱しました。

最後の戦いと遺産

ルスダンは、教皇グレゴリウス9世に支援を求めましたが、結果的には望んだ支援は得られず、1243年にはモンゴル軍の常駐に伴いグルジアは完全に併合されました。1245年、彼女の甥ダヴィド7世が王位を要求しましたが、ルスダンは息子ダヴィド6世を後継者として認めるよう、モンゴル帝国に掛け合いました。ルスダンは同年に亡くなり、彼女の治世はグルジアの歴史に深い影響を与えることになりました。

ルスダンの統治は、彼女が直面した数々の困難と、国の運命を左右する重要な局面であったと言えるでしょう。彼女の物語は、戦争と混乱の中での女性の強さと決意を象徴しています。

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