ルドヴィーク・スヴォボダ

ルドヴィーク・スヴォボダは、激動の20世紀を生きたチェコスロヴァキアの軍人、政治家です。1895年に農民の家庭に生まれ、第一次世界大戦、第二次世界大戦を経て、チェコスロヴァキアの大統領にまで上り詰めました。彼の生涯は、チェコスロヴァキアの歴史そのものと言えるでしょう。

第一次世界大戦では、オーストリア＝ハンガリー帝国軍に召集されロシア戦線へ送られますが、チェコ人グループを率いてロシア帝国軍に投降。その後、チェコ軍団に入隊し、祖国の独立のために戦いました。大戦終結後の1920年にはチェコスロヴァキア軍の将校となり、軍人としてのキャリアをスタートさせます。

1939年、ドイツ軍によるチェコスロヴァキア占領後には反ファシスト運動に身を投じます。ポーランドを経てソ連に亡命し、第二次世界大戦中はチェコスロヴァキア部隊を編成、指揮官としてナチス・ドイツとの戦いに参加しました。特に、1942年に創設を発議した第1チェコスロヴァキア独立歩兵大隊は、彼のリーダーシップの下、勇敢に戦い抜きました。1944年以降は、第1チェコスロヴァキア軍団を率いて赤軍と共にチェコスロヴァキアを解放。祖国をナチスの支配から解放する上で、重要な役割を果たしました。

戦後、スヴォボダは国防大臣に就任し、政界に進出。1948年にはチェコスロヴァキア共産党に入党し、国会議員にも選出されます。その後も、政府副議長や軍事アカデミー校長などの要職を歴任しました。

1968年、スヴォボダは大統領に就任。「プラハの春」と呼ばれる民主化運動の象徴的な存在となります。しかし、同年8月にはワルシャワ条約機構軍が軍事介入。スヴォボダは、事態収拾のためモスクワに飛び、ソ連指導部との交渉に臨みます。ソ連は彼を取り込もうとしますが、スヴォボダは逮捕されたドゥプチェクらの解放を要求し、最終的にそれを実現させました。

1973年に大統領に再選されますが、1975年に病気のため辞任。その後は、グスターフ・フサークが進める「正常化」路線の中で、政治的な影響力を持つことはありませんでした。1979年、心臓発作のためプラハで死去。83歳でした。

ルドヴィーク・スヴォボダは、その生涯を通じてチェコスロヴァキアの歴史と深く関わり、数々の功績を残しました。軍人として、政治家として、そして愛国者として、彼の名は後世に語り継がれることでしょう。

叙勲
チェコスロバキア社会主義共和国英雄（1965年、1970年、1975年）
ソ連邦英雄（1965年）
K.ゴットヴァルト勲章2個
レーニン勲章
十月革命勲章
一等及び二等スヴォーロフ勲章
チェコスロバキア平和賞
「民族間の平和強化に対する」国際レーニン賞

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