ルナ・オービター4号

ルナ・オービター4号

ルナ・オービター4号は、1967年にNASAによって打ち上げられた月探査衛星です。このミッションは、アポロ計画に向けた地図作成や着陸地点選定のための先行調査として位置付けられていましたが、これまでのルナ・オービター計画とは異なり、科学的知識の拡充を目的として新たに設計されました。

衛星の主な目標は、月面の広範囲にわたる系統的な写真観測を行い、自然や起源、形成に関する理解を深めることでした。また、月面測量や放射線量、流星塵衝突のデータ収集を行うための各種装置が搭載されていました。

ルナ・オービター4号は、月を周回する際に85.5度の軌道傾斜角を持つ2706×6111kmの楕円軌道を描き、約12時間の周期で周回しました。こうしたデータ収集は、将来の科学研究や着陸計画にとって非常に重要な資料となります。

観測とその課題

1967年5月11日、ルナ・オービター4号は最初の画像を地球に送信しましたが、すぐに一連の技術的問題に直面しました。最初の問題は、カメラのサーマルドアに関わるもので、開閉の指令に適切に反応できなくなりました。このため、ドアは開いた状態に保たれ、不要な姿勢維持操作が求められる事態になりました。この措置は、光の漏れによるカメラの故障を防ぐためにとられたものでした。

5月13日には、光漏れの影響でフィルムにダメージがあることが確認され、再びドアの部分的な閉鎖が試みられました。さらに、低温によって水分が凝縮され、その結果レンズが曇る現象も発生しましたが、姿勢の調整によりカメラの温度が上昇し、曇りは解消しました。5月20日からは映像読み出し機構に問題が生じ、その故障が続いたため、5月26日には画像収集ミッションを終了することが決定されました。

それでも、全ての画像は無事に読み取られ、送信されました。1967年5月11日から26日までの間に419枚の高解像度画像と127枚の中解像度画像が取得され、約58～134メートルの解像度で月面地球側の99%が撮影されました。加えて、放射線データからは、太陽粒子現象による放射線量増加が明らかにされました。

このデータは、後のルナ・オービター5号計画に必要な軌道データを集める上でも大変重要でした。最終的にルナ・オービター4号は、1967年10月31日に自然に軌道崩壊を起こし、月面に墜落しました。墜落地点は西経22度から30度の位置でした。

まとめ

ルナ・オービター4号のミッションは、多くの技術的困難を克服しながらも、重要なデータを地球に送信しました。この成果により、月面探査の新たなステージが開かれ、将来の宇宙探査計画に大きな影響を与えました。

もう一度検索