ルナ6号

ルナ6号とは

ルナ6号（ロシア語：Луна 6、英語：Luna 6）は、1965年にソビエト連邦が発射した無人月探査機であり、月面への軟着陸を目指して設計されました。この探査機は、世界初の月面着陸を成し遂げることを目標としていましたが、残念ながらその計画は未成功に終わりました。具体的には、ルナ6号は月から約16万キロメートルの距離を通過し、地球との距離が大きい軌道へ移行しました。

設計と構造

ルナ6号は、月面へ着陸するためのランダーと、そのランダーを月面に軟着陸させる役割を持つ飛行ステージから構成されていました。ランダーは直径58センチメートルの球形をしており、内部は気圧が調整されていました。観測機器として、パノラマカメラや放射線計が搭載されていました。このように、ルナ6号は着陸後の観測を計画した内容を含んでいました。

飛行ステージには逆噴射ロケットが装備されており、これはランダーを低速で月面に到達させるためのものでした。また、軌道修正の役割もこの飛行ステージが担っていました。ルナ6号全体の質量は1442キログラムであり、設計上は飛行ステージがその大部分を占めていました。

打ち上げと飛行経過

1965年6月8日、ルナ6号はモルニヤ8K78ロケットによってバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。発射後、一度地球を周回し、その後、ロケット上段の点火によって月へ向かう軌道に投入されました。

6月9日には軌道の微修正が実施されましたが、そこで不具合が発生しました。軌道修正のための逆噴射ロケットの点火は順調に進んでいましたが、予定した時間が経過しても燃焼が続いてしまったのです。これはタイマーに誤ったコマンドが送られたことが原因とされています。そのため、推進剤が完全に使い果たされるまで燃焼が続き、ルナ6号は月から大きく外れた軌道に入ることになりました。

6月11日、ルナ6号は月から約16万1000キロメートルの地点を通過しました。これは地球と月の平均距離の38万キロメートルの半分にも満たない異常な距離であり、計画はこの時点で失敗が確定しました。探査機との交信は、地球から60万キロメートルの距離に達するまで続きました。その後、ルナ6号は太陽の周りを周回する人工衛星となったと考えられています。

まとめ

ルナ6号の打ち上げとその経過は、無人探査機による月探査の初期段階における挑戦を象徴しています。設計は前任のルナ9号と同じく、月の表面を照射し科学的データを収集することを目指していましたが、初の軟着陸には至らなかったものの、その後の探査活動に向けた貴重な経験を提供しました。

もう一度検索