ルノー・アラスカン

ルノーが開発・製造するピックアップトラック、アラスカン（ALASKAN）は、同社にとって初めての1トンクラス車種として市場に投入されました。このモデルは、2015年にコンセプトモデルとして発表され、その後、2016年秋から量産が開始されました。生産拠点は、メキシコにある日産自動車の工場が担い、最初の販売市場は南米のコロンビアでした。

プラットフォームと設計
アラスカンの設計は、ルノーと日産のアライアンスの連携を示すものであり、日産自動車が製造・販売するピックアップトラック、ナバラまたはフロンティア（型式名D23）と基本的なメカニズムを共有しています。これによって開発効率を高めつつも、外観デザイン、特にフロント部分に関しては、ルノー独自の個性的なスタイリングが施されています。ボディタイプの展開においては、D23型ナバラ／フロンティアが複数のキャブタイプを持つ場合があるのに対し、アラスカンは乗員スペースと荷台のバランスに優れたダブルキャブ仕様のみに絞られています。

パワートレイン
搭載されるエンジンは、日産の実績あるYD25DDTi型をベースとした2.5リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンです。このエンジンは、ピックアップトラックに求められる力強い低速トルクと信頼性を兼ね備えています。組み合わされるトランスミッションは、ドライバーの好みに応じて選択できるよう、6速マニュアルトランスミッションと7速オートマチックトランスミッションが設定されています。駆動方式には、パートタイム式の4WDシステムが採用されており、通常の舗装路から滑りやすい路面、さらには本格的なオフロードまで、路面状況に応じた走行モードの切り替えが可能で、高い悪路走破性を実現しています。

車両の特徴と快適性
アラスカンは、ピックアップトラックとしての本質である堅牢性や優れた悪路走破性を追求しつつ、乗員の快適性も重視した設計となっています。インテリジェントキーシステムによるスマートな乗降やエンジン始動、自動で室内温度を調整するオートエアコン、そして長距離移動でも疲れにくいように配慮された上質なシートなど、現代的な快適装備が充実しています。これらの装備により、アラスカンは単なる商用車や作業車両としてだけでなく、レジャーや日常使いにおいても快適な移動手段としての側面も兼ね備えています。

生産体制と販売計画
アラスカンの生産は、当初のメキシコ工場に加え、生産能力の増強と供給体制の多角化が進められています。アルゼンチンでは、2018年までに稼働を目指して建設された日産・ルノーアライアンスの新たな工場や、スペインにある工場でも生産される計画です。これにより、南米をはじめとする既存市場に加え、今後、ヨーロッパやオセアニアといった新たな地域への販売拡大が計画されており、グローバル市場でのプレゼンスを高めていくことが期待されています。

関連車種
アラスカンと密接に関連する車種としては、その開発基盤となった日産・ナバラ（D23型）や、同じくD23型ナバラをベースとして開発されたメルセデス・ベンツ・Xクラスが挙げられます。

もう一度検索