ルノー・グルーミー

ルノー・グルーミー：ルノーのスクーター戦略の終着点

ルノー・グルーミーは、2003年に登場した、ルノー・スポールブランドから販売されていたスクータータイプの軽二輪オートバイです。特徴的なのは、その製造元。イタリアのベネリ社が製造した車両を、ルノーがOEM供給という形で受け、販売を行っていました。125ccと150ccの2つの排気量モデルがラインナップされ、スポーティなデザインと扱いやすさで注目を集めたものの、このグルーミーをもってルノーはスクーター市場からの撤退を決定しました。

グルーミーの個性：着脱式ルーフと日本未導入

グルーミーは、ベースとなったベネリのモデルとは異なる点がいくつかあります。最も大きな違いはルーフにあります。ベネリのオリジナルモデルが固定式ルーフを採用しているのに対し、グルーミーはルーフを取り外すことが可能でした。これは、スクーターとしての利便性を高め、オープンエアでの走行も楽しめる設計思想を表しています。

一方で、グルーミーは日本市場には導入されませんでした。欧州市場を中心に販売されたこのモデルは、日本の軽二輪市場のニーズや規制に対応できなかった、あるいは販売戦略上の判断によるものと考えられます。具体的な理由は公式な情報からは明らかになっていませんが、日本市場におけるスクーターの競争激しさや、ルノーの日本市場における戦略などを考慮すると、その理由の一端が推測できるかもしれません。

グルーミー125とグルーミー150：スペックの違い

グルーミー125とグルーミー150は、排気量が異なる以外は基本的なスペックはほぼ同一でした。125ccモデルは、日常使いに適した扱いやすいモデルとして、150ccモデルは、よりパワフルな走行を求めるユーザーに向けたモデルとしてそれぞれ位置づけられていたと考えられます。両モデルとも、ベネリ社が2002年から製造を開始しており、ルノー・スポールによる販売は2003年から開始されました。

ルノーとOEM供給：戦略と撤退

ルノー・グルーミーは、ルノーがOEM供給によって販売した数少ないスクーターの1つです。ルノーは、自社でスクーターを開発・製造するのではなく、ベネリなどの他社から供給を受けることで、コスト削減や市場への迅速な参入を目指していたと推測されます。しかし、スクーター市場における競争激化や、ルノー自身の経営戦略の変化など、様々な要因が重なり、グルーミーを最後にルノーはスクーター市場からの撤退を決定しました。

関連車種：ルノーのOEM戦略

ルノー・グルーミー以外にも、ルノーはいくつかのOEM供給車種を販売していました。例えば、ルノー・クラノス、ルノー・キャンパス、ルノー・スペシメンなどが挙げられます。これらの車種も、それぞれ異なるメーカーからOEM供給を受けて販売されたモデルであり、ルノーの多様な戦略の一端を垣間見ることができます。これらのモデルの詳細は、別の機会に紹介したいと思います。

まとめ：ニッチな存在感を放つ一台

ルノー・グルーミーは、ルノーのスクーター戦略における最終モデルであり、ベネリとのOEM提携による独特の個性を持つスクーターでした。日本未導入という点も含め、希少性が高いモデルと言えるでしょう。その存在は、ルノーの過去の戦略や、OEM供給というビジネスモデルの一例として、自動車史において小さなながらも重要な足跡を残しています。

もう一度検索