ルパン三世 ハリマオの財宝を追え!!

ルパン三世 ハリマオの財宝を追え!!：戦後50周年記念作品、そして新たな時代の幕開け

1995年8月4日、日本テレビ系の金曜ロードショーで放送された『ルパン三世 ハリマオの財宝を追え!!』。これは、モンキー・パンチ原作のTVスペシャルシリーズ第7作であり、戦後50周年に放送された記念すべき作品として、視聴率20.6％という高い数字を記録しました。

物語の舞台：第二次世界大戦と巨万の富

本作は、第二次世界大戦下のマレー半島を舞台に、現地人指導者ハリマオが残した莫大な財宝を巡る物語です。ハリマオは、強盗団を率いて日本軍やイギリス軍から略奪を行い、巨万の富を築きました。その財宝は、時価800億ドルとも推定され、ルパン三世を始めとする多くの者たちがその奪取を狙います。

物語は、ルパンがアラスカの美術館から熊の像を盗み出すところから始まります。この熊の像は、ハリマオの財宝の在り処を示す3体の像の一つです。残りの像の場所を知る人物は、イギリス貴族のアーチャー卿のみ。アーチャー卿は、イギリス情報部の元諜報員という経歴を持つ老紳士で、孫娘には美人の考古学者ダイアナがいます。

新たなルパン、そして豪華キャスト

本作は、1995年3月に他界した山田康雄さんの後任として、栗田貫一さんが正式にルパン三世役を務めた記念碑的な作品でもあります。栗田さんの抜擢は新聞などで大々的に報じられ、映画での演技や視聴者からの要望が決定打となったとされています。

監督には『ルパン三世 ロシアより愛をこめて』で好評を博した出崎統氏が3年ぶりに復帰。出崎監督独特の演出が随所に散りばめられており、同時に彼の最後のルパン作品となりました。脚本には柏原寛司氏に加え、米村正二氏と藤田伸三氏が初参加。彼らのアイデアも作品に織り込まれています。キャラクターデザインは須藤昌朋氏が担当し、ゲストキャラクターには、おぼんさんなど豪華な顔ぶれが揃っています。

アクションとユーモアが織りなす冒険

本作では、これまでのTVスペシャルと比べて肉弾戦のシーンが多く、ルパンがワルサーP38を使用する場面がない珍しい作品となっています。また、次元の目を見せる描写が多く、コンバットマグナムの効果音も変更されています。さらに、当時の流行語やコミカルな場面もふんだんに盛り込まれており、テンポの良い展開が魅力です。

ハリマオの財宝、そしてネオ・ヒムラー

ルパンたちは、アーチャー卿やダイアナと共に、アムステルダム、タイと世界中を駆け巡り、残りの像を探し求めます。しかし、彼らを追うのは、ネオナチ系カルト軍団「ネオ・ヒムラー」です。ユーロトンネル爆破事件の裏にも彼らの影があり、アーチャー卿の莫大な負債も彼らの策略によるものでした。

ルパンたちは、3体の像を手に入れ、アーチャー卿の操縦する潜水艦で、海底神殿へと向かいます。そこには、ハリマオの財宝が眠っていました。しかし、ネオ・ヒムラーの執拗な追跡、裏切り、そして予想だにしない結末が彼らを待ち受けています。

感動のラストと未来への繋ぎ

アーチャー卿の壮絶な最期、ルパンたちの決死の逃走、そして不二子の活躍など、本作はアクション、ユーモア、そして感動的なストーリーが絶妙にブレンドされた傑作です。2018年放送の『ルパン三世 PART5』では、本作のダイアナと黄金の潜水艦が再登場するなど、後世にも大きな影響を与えた作品といえるでしょう。

主要登場人物

ルパン三世：栗田貫一
次元大介：小林清志
石川五ェ門：井上真樹夫
峰不二子：増山江威子
銭形警部：納谷悟朗
ダイアナ・アーチャー：岡本麻弥
アーチャー卿：中村正
ラッセル（ヘルマン・フォン・ディート）：鈴置洋孝
* ゲーリング：天田益男

本作は、新たなルパン三世の時代を切り開いた作品として、そして、ハリマオの財宝を巡る壮大な冒険物語として、多くのファンを魅了し続けています。

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