ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発!

ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発！：平成最初のルパン、情報化社会に挑む！

1989年4月1日、日本テレビ系で放送された『ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発！』は、モンキー・パンチ原作による『ルパン三世』テレビスペシャルシリーズの記念すべき第一作目です。13.3%という視聴率を記録した本作は、1987年のOVA『風魔一族の陰謀』以来2年ぶり、テレビアニメシリーズとしては『ルパン三世 PARTIII』最終回以来3年半ぶりの新作でした。

新時代の幕開け：再び集結したお馴染みの面々

『TV第1シリーズ』を手掛けた出崎統監督の下、往年のキャストが再集結しました。大野雄二氏による音楽も復活し、『TV第2シリーズ』以来9年ぶりに「ルパン三世のテーマ」が使用されたことも話題を呼びました。ルパンの衣装は『TV第2シリーズ』を踏襲しつつも、黄色いネクタイや五ェ門の着物の変更など、新たな要素も加えられています。キャラクターデザインは古瀬登氏によるもので、『ルパン三世 ルパンVS複製人間』のデザインを意識したものとなっています。

オリジナルストーリー：コンピュータウイルスが潜む自由の女神像

本作の物語は、情報技術の発達によりルパンの犯罪記録が全世界の警察に共有されるようになった世界から始まります。盗難が難しくなったことに加え、記録の抹消にも50年かかると予測したルパンは引退を宣言。しかし、愛するジュディが巨額の借金を残して逃亡したことで、再び泥棒稼業に身を投じることになります。

一方、次元は旧友の依頼で、自由の女神像に隠された世界最大のダイヤモンド「スーパーエッグ」の奪取を計画。しかし、ルパンと次元は「スーパーエッグ」を狙う謎の組織「スリーメイスン」に襲われ、鍵となる人物を殺されてしまいます。

そこでルパンは、時間を稼ぐため自由の女神像そのものを盗み出す大胆な行動に出ます。像の中には、コンピュータの扱いに長けた天才少年マイケルが隠れており、彼は「ニューウイルス」と呼ばれる、全世界のコンピュータデータを改竄・消去できる危険なコンピューターウイルスの存在をルパンに知らせます。

緊迫の展開：秘密結社スリーメイスンとの死闘

「スーパーエッグ」と「ニューウイルス」を狙う「スリーメイスン」は、謎の魔術を使うシルバーマンを総帥とする世界的な秘密結社です。彼らは不二子を操り人形のように操るなど、超常的な能力も駆使してルパン一行を追い詰めます。

五ェ門と合流したルパンたちは、宝石商を名乗る美女イザベルと取引を試みますが、不二子に裏切られ、イザベルを奪われてしまいます。イザベルは実は「ニューウイルス」の開発者であり、「スリーメイスン」の元No.2で、マイケルの母親であることが明らかになります。

ルパンと五ェ門はイザベルを救出するため「スリーメイスン」の本部に潜入しますが、それはイザベルの罠でした。地下階に閉じ込められたルパンたちは、瀕死のイザベルを救い出し、カンツの企みを阻止するために奔走します。

キャストとスタッフ

ルパン三世：山田康雄
銭形警部：納谷悟朗
次元大介：小林清志
石川五ェ門：井上真樹夫
峰不二子：増山江威子

監督：出崎統
脚本：柏原寛司
音楽：大野雄二

制作秘話

プロデューサーの武井英彦氏によると、本作は『TV第2シリーズ』の再放送が好評だったことを受け企画されたとのことです。また、若い世代にもアピールすることを意識した制作体制がとられています。オリジナルプロットはモンキー・パンチ氏に依頼され、当時最先端だったコンピュータウイルスがテーマとして採用されました。出崎統監督の演出スタイルにより、脚本は当初のものから大幅に変更されています。

作品の評価と影響

『ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発！』は、平成最初のルパン作品として、シリーズに新たな息吹をもたらしました。コンピュータウイルスという現代的なテーマを取り入れた斬新なストーリーと、ルパン一味の活躍は、多くのファンを魅了しました。山田康雄さんの追悼企画として再放送された際には、17.0%という高い視聴率を記録しました。2019年には、本作をテーマにしたビール「Bye-Bye Liberty」も発売されるなど、現在もなお愛され続けている作品です。

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