ルミャンツェフ作戦

ルミャンツェフ作戦

ルミャンツェフ作戦（ロシア語: Операция “Румянцев”）は、第二次世界大戦中、特に独ソ戦の東部戦線における重要な軍事作戦であった。この作戦は1943年に行われ、ソビエト連邦（ソ連）がハリコフ周辺地域を奪還するために展開された。

背景

この作戦に先立つ1943年の夏、ソ連軍はドイツ軍のクルスク突出部を狙った攻撃が失敗した後、反撃を開始した。ソ連軍はこの反撃の一環として、7月12日にクトゥーゾフ作戦を発動し、オリョール地区のドイツ軍に対して大規模な攻撃を行った。この攻撃では、ソ連軍は約128万人の兵士を動員し、ドイツ軍59万人の包囲殲滅を試みた。

ソ連軍はこれまでにない規模の火力を集中させ、連続攻撃を行った結果、8月5日にはオリョールが陥落した。この勝利はソ連軍にとって大きな自信となり、次なる目標としてハリコフを定めた。

作戦準備

ソ連軍はオリョールへの攻撃と並行して、ベルゴロド・ハリコフ地区への攻勢をも計画していた。攻撃の主力はヴォロネジ方面軍であり、第5軍と第6親衛軍がまずドイツ軍の防御を突破する役割を担っていた。

そして、さらに後方には第1戦車軍と第5親衛戦車軍が控えており、これらの部隊が連携して攻撃を行う計画であった。ヴォロネジ・ステップ軍は絶対的な兵力の優位を背景に、第1装甲軍の支援を阻む形で攻勢を展開した。

戦闘の経過

ドネツ攻勢

7月16日、南西方面軍と南部正面軍はドネツ川を渡河し、第1装甲軍に対する攻勢を開始した。この行動は、ハリコフ攻勢のための陽動に過ぎなかったが、結果的にドイツ軍の注意を引くことに成功した。

南西方面軍の攻撃は簡単には成功しなかったが、南部正面軍は橋頭保を確保することに成功し、ドイツ軍に脅威を与えることとなった。ヒトラーはこの状況を受け、ドイツ軍の強化を求める決定を下した。

ハリコフ攻勢

本格的なハリコフ攻勢は8月3日に開始された。ヴォロネジ・ステップ軍の110万人の部隊がハリコフへの攻撃を開始し、各方面からの包囲が進みつつあった。8月5日には、重要な都市であるベロゴルドが解放されており、攻撃は急速に進んでいった。

ソ連軍はわずか数日で大きな進撃を遂げ、8月7日にはボゴドゥコフとグライボロンが陥落した。この成功により、ドイツ軍の第4装甲軍は孤立し、厳しい状況に置かれることとなった。

ハリコフ解放

しかし、ハリコフ市内を守るドイツ軍も必死に抵抗した。マンシュタイン司令官は北に配置した装甲軍を編成し、ソ連軍に反撃を試みるも、大損害を被りながらもハリコフを維持した。

一方、ミウス戦線ではソ連軍が攻勢を再開し、ドイツ軍に分断をもたらしていた。最終的にマンシュタインはハリコフの放棄を決断し、ドネツ盆地からの撤退を試みることとなった。8月23日、ソ連軍はついにハリコフを奪還した。

結果

ルミャンツェフ作戦は、ソ連軍の重要な勝利を収めており、ベルゴロド・ハリコフ地区は解放された。この戦いによって、ドイツ南方軍集団は多大な損失を被り、数万の兵士を失った。一方、ソ連軍も多大な犠牲を払ったが、その損害を十分に織り込んだ計画であり、補充部隊の準備が整っていた。結果として、ソ連軍の連続攻勢は疲弊したドイツ軍を崩壊させ、1944年の春までにウクライナの大部分が解放されることとなった。

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