ルンギー

ルンギーとは

ルンギーは、インド亜大陸や東南アジア地域で広く着用されている伝統的な腰巻き衣装です。その起源は古く、高温多湿な気候に適した衣服として、長年にわたり人々に愛用されてきました。別名サロンとも呼ばれ、地域によって様々な呼び名やデザインが存在します。

デザイン

ルンギーは、基本的には筒状に縫われた布、または一枚の布を腰に巻き付けて着用します。ドウティのように一枚布を巻き付けるタイプとは異なり、スカートのように筒状に縫製されているのが特徴です。標準的な大人用ルンギーは、広げると高さ約115cm、横幅約200cmのサイズになりますが、子供用は約2/3のサイズで作られます。素材は主に綿ですが、絹製のものは結婚式などの特別な場で用いられます。

最も一般的なデザインは、単色または格子模様で、これは織機で容易かつ安価に製造できるためです。青色は、他の色と区別しやすく、心地よい色合いのため特に人気があります。多くのルンギーには、上部と下部にほつれ防止のための白黒ストライプが施されています。

用途

ルンギーは、男性だけでなく女性も着用する場合があります。着用方法は地域や文化によって異なり、日常生活から結婚披露宴などの特別な場面まで、幅広く利用されています。最も一般的な着用方法は、ルンギーの上端二点を引っ張り、二重に結んでから両端を腰の中に入れる方法です。また、蝶結びで留める方法も一般的です。ルンギーの丈は調整可能で、腰にタックインすることでショートスカートのように着ることもできます。

地域ごとのバリエーション

ルンギーは、その着用方法やデザインにおいて、地域ごとに異なる特徴を持っています。

バングラデシュ

バングラデシュでは、ルンギーは男性の最も一般的な普段着ですが、フォーマルな場では着用されません。結婚式では、新郎にタータン調やバティック、シルクのルンギーが贈られることがあります。バングラデシュのルンギーは、継ぎ目のない筒状になっているのが特徴です。

インドネシア

インドネシアでは、ルンギーは「サローン(sarung)」と呼ばれ、宗教行事の際に着用されるなど、伝統衣装として認識されています。バティックのような芸術的なデザインが施されたものや、単色、矩形、カリマンタンのサマリンダンのバティックなど、さまざまな種類があります。

ミャンマー

[ミャンマー]]では、ルンギーは「[[ロンジー]」と呼ばれ、男性用は「パソー(paso)」、女性用は「タメイン(htamain)」と呼ばれます。コットンやシルクなど様々な素材で作られ、フォーマル・インフォーマル両方の場面で着用されます。

ソマリア

ソマリアでは、「マカウィス(macawis)」と呼ばれ、男性の普段着として普及しています。伝統的な色は白ですが、カラフルな西アジア風のルンギーも持ち込まれています。

インド

インドでは、ルンギーの着用方法は州によって異なり、ハリヤーナー州では男性用の寝間着として使われています。

パキスタン

パキスタンでは、パンジャーブ地方とシンド州でルンギーが着用されています。以前は広い層で着用されていましたが、現在ではパンジャーブでは高齢者が着る傾向があり、若者はサルワール・カミーズを着用することが多いです。しかし、夏の暑い時期には、パンジャーブの男性は家でルンギーを着用します。シンド州では、ルンギーは女性の一般的な衣装であり、様々な刺繍やパターンが施されています。

その他の地域

イエメンでは「フター(Futah)」、オマーンでは「イザール(Izaar)」、サウジアラビアでは「イザール(Izaar)」、ブルネイ、マレーシア、シンガポールでは「サロン(Sarung)」と呼ばれています。それぞれの地域で、ルンギーは日常生活や儀式の中で重要な役割を果たしています。

まとめ

ルンギーは、その多様なデザインと着用方法を通して、各地域の文化や伝統を色濃く反映した衣装です。実用性と快適さを兼ね備え、人々に長く愛され続けています。その普遍的な魅力は、今後も世界中で受け継がれていくでしょう。

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