ルンビニ

ルンビニ（Lumbinī）

ルンビニは、ネパールの南部タライ平原に位置する村で、仏教の創設者・釈迦（ガウタマ・シッダールタ）の生誕地とされています。仏教徒にとって非常に重要な地域であり、四大聖地の一つとして親しまれています。

発掘調査と過去の発見

1992年以降、ルンビニーでは発掘調査が行われ、特にマーヤー・デーヴィー寺院の修復工事と同時進行で全日本仏教会が調査を担当しました。その結果として、寺院中心部から印石と呼ばれるマーカーストーンが発見され、この石は釈迦の生誕地を示すために設置されていた可能性があります。また、寺院の外壁は東西26メートル、南北21メートルの大きさで、複数の増改築が行われたことも明らかになりました。発掘では銀や銅の貨幣、装飾が施されたれんが、ガラスや水晶の玉、石柱の破片なども見つかっています。

世界遺産としてのルンビニ

ルンビニは、1997年にユネスコの世界遺産に登録されました。この地域は、マーヤー・デーヴィー寺院やアショーカ王によって建立された石柱、釈迦が産湯を使ったとされる池など、歴史的な遺構が残っています。特に年末から年始にかけて、多くの巡礼者が訪れる時期があり、賑わいを見せます。

登録基準

ルンビニが世界遺産に登録された理由は、次の2つの基準を満たしているためです。

• - (3) 現存または消滅した文化的伝統や文明の稀少な証拠を提供している。
• - (6) 釈迦の生誕地としての重要性が、仏教や多くの文化に影響を与えていること。

釈迦の生誕伝説

仏典によると、釈迦は母・摩耶夫人がルンビニの花園で里帰りの途中に誕生したとされます。彼は誕生と同時に七歩を歩き、両手で天空と大地を指差し「天上天下唯我独尊」と叫んだと伝えられています。しかし、生後一週間後に母を亡くし、母の妹である摩訶波闍波提によって育てられました。

ルンビニの地名は古文献に記されており、その存在は確かめられていますが、具体的な位置はしばらく忘れ去られていました。1896年にインド考古局の発掘によって、この地が釈迦生誕の地であることが証明されました。

ルンビニ釈尊生誕地聖域計画

釈迦の生誕地を中心に明確な聖地として整備するために「ルンビニ釈尊生誕地聖域計画」が1978年に提唱され、建築家の丹下健三によってマスタープランが作成されました。この計画のもと、国際的な寺院や仏塔が建設され、現在でも整備が進められています。しかし、未整備の土地や造成中の施設も多く見られます。2011年にはルンビニ開発国家指導委員会が設立され、区域の特別開発が進められているほか、各国の寺院が建設されています。

交通と宿泊

ルンビニへのアクセスは、ネパール-インド国境近くのスノウリから乗合バスやリクシャーを利用することで可能です。当地の聖域は広範囲にわたるため、一巡するにはリクシャーやレンタサイクルの利用が一般的です。また、周辺にはさまざまな宿泊施設やゲストハウスがありますが、シーズン中は人気のある宿はすぐに満室となることが多いです。

あらゆる観光施設が整っているわけではなく、高級な宿泊施設は限られていますが、必要最低限のサービスは整えられています。治安は比較的良好ですが、交通の便が一部不便なところもあります。要するに、ルンビニは釈迦の誕生地としての重要な歴史と文化を持っており、多くの人々が訪れています。

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