ル・ミリオン

『ル・ミリオン』

『ル・ミリオン』は、1931年に公開されたフランス映画で、監督はルネ・クレールが務めました。この作品は、ジョルジュ・ベールらによる戯曲を元にしており、宝くじによって展開する一連の愉快な騒動を描いたミュージカル・コメディです。

物語の中心は、売れない画家のミシェル（演：ルネ・ルフェーヴル）です。彼は、人生の不運が続く中で、ある日宝くじが当たることになります。ミシェルの婚約者で、踊り子のベアトリス（アナベラ）がいますが、この喜びも一筋縄ではいきません。ミシェルは同じアトリエを共有する彫刻家、プロスペール（ルイ・アリベール）と共に、宝くじで得た運を如何に活かすかを模索します。しかし、彼らの計画は、さまざまな人物が絡むことで思わぬ方向へと進展していきます。

登場人物の一人、チューリップ（ポール・オリヴィエ）は一見古着屋ですが、実は義賊としての顔を持ちます。また、イタリアのオペラ歌手ソプラネッリ（コンスタンタン・シロエースコ）や、タクシー運転手といった多彩なキャラクターたちが物語に華を添え、観客を楽しませます。

『ル・ミリオン』は、その巧妙な脚本と独創的な演出から、公開当時から多くの人々に愛されてきました。1967年には、カナダのオッタワの映画保存協会が行ったアンケートで「映画史上のコメディ・ベスト10」の7位に選ばれた他、2003年にはスティーヴン・ジェイ・シュナイダーが選んだ『死ぬまでに観たい映画1001本』にも名を連ねています。

日本でも、この映画は1931年のキネマ旬報外国映画ベストテンで第4位を獲得しました。また、2021年には映像が4Kデジタル修復され、新たに劇場公開されることで、懐かしい名作を現代の観客にも届けることができました。

「ル・ミリオン」は単なるコメディにとどまらず、人間の欲望や希望、そして夢を描いた作品でもあります。象徴的な音楽と共に、観る人を魅了し続けるこの映画は、映画の歴史の中で特別な位置を占めています。豪華なキャストと巧緻な演出により、今日でも色褪せることなく、多くの人に親しまれています。

キャスト

• - ミシェル: ルネ・ルフェーヴル（吹替：永井一郎）
• - ベアトリス: アナベラ（吹替：海老原響子）
• - プロスペール: ルイ・アリベール（吹替：八奈見乗児）
• - チューリップ: ポール・オリヴィエ
• - ソプラネッリ: コンスタンタン・シロエースコ
• - タクシー運転手: レーモン・コルディ
• - ヴァンダ: ヴァンダ・グレヴィル

スタッフ

• - 監督・脚本・台詞: ルネ・クレール
• - 原作戯曲: ジョルジュ・ベール、マルセル・ギユモー
• - 撮影: ジョルジュ・ペリナル
• - 音楽: ジョルジュ・ヴァン・パリス、アルマン・ベルナール、フィリップ・パレス
• - 美術: ラザール・メールソン
• - 制作: トービス

この作品は、映画愛好者にとって一見の価値がある傑作です。

もう一度検索