ルーガンビル

ルーガンビル

バヌアツ共和国に位置する都市、ルーガンビル（ビスラマ語: Luganville）は、サンマ州の行政中心地であり、同国で首都ポートビラに次ぐ第二の都市です。エスピリトゥサント島の南部、ルーガンビル海峡に面した重要な港湾都市として発展してきました。

概要

ルーガンビルは、エスピリトゥサント島南岸に位置する天然の良港を持ち、この地の利を活かした港湾都市として栄えています。バヌアツにおいて第二の規模を誇る都市であり、国の産業活動を支える中心地としての役割を果たしています。主要な輸出品であるコプラやカカオなどの農産物の積出港として機能するほか、物流の拠点としても重要です。1999年の統計によれば、人口は10,738人を記録しており、特にメラネシア系の先住民が多く居住しています。

この都市は、バヌアツ北部地域における交通網の要衝でもあります。国際貿易港としての認定を受けていることから、多くの貨物船にとって重要な中継地となっており、物資の流通に不可欠な存在です。また、バヌアツの北部諸島への玄関口としても機能しています。

歴史

ルーガンビルは、短期間存在したベマラナ共和国の首都であったという歴史を持ちます。しかし、この都市の歴史において最も特筆すべきは、第二次世界大戦中の出来事です。大戦期には、太平洋戦線における重要な拠点として、ここに大規模なアメリカ軍の基地が建設されました。一時期には、約10万人ものアメリカ軍兵士が駐留しており、都市の人口は急激に増加しました。この時期には、基地機能の維持や兵士の生活を支えるために、道路や港湾、病院、劇場といった数多くの公共施設が整備され、都市は急速な経済発展を遂げ、かつてないほどの活気に満ちていました。

しかし、戦後に基地が撤去されると、都市はそれまでのような軍事特需を失い、急激に活力を失い衰退しました。当時の繁栄をしのばせるものは、現在ではわずかに残された兵舎の跡などに限られています。

それでも、第二次世界大戦の遺産は別の形でルーガンビルに恩恵をもたらしています。ルーガンビルの海岸からわずか100メートルほど沖合の海底には、第二次世界大戦中に徴用され、機雷に触れて沈没した元豪華客船であるアメリカ軍の輸送船「プレジデント・クーリッジ号」が眠っています。この巨大な沈船は、サンゴが着生し様々な海洋生物が集まる場所となり、現在ではルーガンビルを代表する世界有数のダイビングスポットとして知られています。その歴史的な背景と、豊かな生態系が評価され、世界中から多くのダイバーが訪れています。

交通

ルーガンビルはバヌアツ北部の交通の要衝として、航空路と航路の両面で重要な役割を担っています。

空港: サントペコア国際空港があり、バヌアツ国内の主要都市や、隣接する島嶼国家などへの航空便が就航しています。国内線だけでなく、国際線も一部就航しており、空路でのアクセスを支えています。
港湾: ルーガンビル港は国際貿易港として認定されており、国内外からの貨物船や客船が寄港します。大型船の入港も可能であり、バヌアツ北部の物流拠点としての機能を果たしています。また、ここから北部諸島へのフェリーなどの海上交通網も発達しています。

対外関係

ルーガンビルは、いくつかの都市と姉妹都市または提携都市関係を結んでいます。これらの関係は、国際交流や文化交流、経済連携の促進を目的としています。

国外

コタキナバル（マレーシア連邦 サバ州）
モン･ドルー（フランス領ニューカレドニア シュド州）
ホニアラ（ソロモン諸島国 ガダルカナル州）

国内

ポートビラ（シェファ州）

これらの都市との友好関係を通じて、ルーガンビルは地域および国際社会との連携を深めています。

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