ルートヴィヒ・リース

ルートヴィヒ・リースの生涯と業績

ルートヴィヒ・リース（Ludwig Riess, 1861年12月1日 - 1928年12月27日）は、ドイツ出身のユダヤ系歴史学者であり、日本における近代歴史学の発展に大きく寄与した人物です。リースはプロイセン王国の西プロイセンにあるドイチュ・クローネ（現在のポーランド・西ポモージェ県ヴァウチ）で生まれ、ベルリン大学に進学してレオポルト・フォン・ランケの下で歴史学を学び、厳密な史料批判を用いる科学的なアプローチを習得しました。

日本での業績

1887年、26歳の時にリースは東京帝国大学史学科の講師として日本に渡り、歴史学の科学的方法を日本の学生たちに教えました。特に重要なことは、リースが1889年に現代史学会を創設する際に指導的な役割を果たしたことです。彼の科学的な視点は、日本での歴史学の定着に大きな影響を及ぼしました。

約15年間にわたり、日本で教鞭を執ったリースは、慶應義塾大学や陸軍大学校などでも教えました。来日時に結婚した大塚ふくとの間には一男四女をもうけ、家族と共に日本での生活を満喫しました。彼は日本文化や歴史に対する深い理解を持ち合せていたため、彼の教えは多くの学生に影響を与えました。

帰国とその後

1902年に日本を離れたリースは、ベルリン大学に戻り、同大学で講師及び後に助教授として活躍しました。帰国後も日本に関する連載を新聞に寄稿し、日本の事情をドイツに広めました。帰国時には、一人息子の応登（オットー）だけを連れて帰国し、家族の絆を深めつつ新たな生活を築きました。

リースは1928年にベルリンで67歳で亡くなりました。彼の未亡人である大塚ふくは、日本の子育てとリースの歴史学への貢献を受け継ぎ、リースの業績を次世代に伝える役割を担いました。経済学者の阿部秀助は、リースの娘と結婚し、リースの著作『欧州近世史』を日本語に翻訳するなど、彼の影響を広める努力も行いました。

主な著書

リースの著作には、『日本雑記』や『近代日本発展史』、そして『欧州近世史』や『世界歴史』などがあり、これらの作品を通して彼の歴史学への貢献が顕著です。彼の著作は、科学的な視点から日本や世界に関する歴史を解明し、一般の読者に易しく伝える役割を果たしました。

さらに、日本語文献として『ドイツ歴史学者の天皇国家観』や『わが父はお雇い外国人　加藤政子談話筆記　L・リース書簡集』も存在し、彼の業績や考え方を深く理解するための貴重な資料となっています。また、彼に関連する歴史学者や思想家として、田中萃一郎や村上直次郎、幸田成友、辻善之助、重野安繹、久米邦武などの名前が挙げられ、彼の影響が日本史学界にどれほど広がったかを示しています。

このように、ルートヴィヒ・リースは日本における近代歴史学の発展において重要な存在であり、その教えや著作は今なお多くの人々に評価されています。

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