辻善之助

辻善之助の生涯と業績

辻善之助（1877年4月15日 - 1955年10月13日）は、日本の歴史学者であり、特に日本仏教史の研究で知られています。兵庫県姫路市で生まれた彼は、東京帝国大学（現在の東京大学）の名誉[[教授]]であり、文学博士の称号を持ちます。彼の研究は実証主義に基づき、日本人の精神や文化の形成を見つめるものでした。

学生時代と学問の足跡

彼は早くから神童として名を馳せ、小学校や中学校で優れた成績を収めました。1893年には姫路中学校から京都の第三高等中学校予科に編入。その後、さらに高い学びを求めて第一高等学校に転校しました。1896年に第一高等学校を卒業後、東京帝国大学文科大学国史科に進学。1899年に卒業する際には、帝国から恩賜の銀時計を受け取りました。

大学卒業後、辻は東京帝国大学大学院に進み、日本仏教史の研究を始めました。彼の努力の結果、1909年には文学博士の学位を取得しました。大学院在学中、三上参次の勧めにより、史料編纂掛に入所し、史料編纂員としての活動も行いました。

教職と研究活動

1911年、辻は文科大学の助[[教授]]となり、その後も欧米に留学しながら多くの学問的な業績を残しました。彼の指導の下、多くの学生が学び、研究を深めていきました。1920年には史料編纂掛の事務主任となり、その充実に尽力しました。特に、1924年には史料編纂掛の拡張に成功し、『大日本史料』の出版体系を整えました。

彼は1921年に『日本仏教之研究』により帝国学士院恩賜賞を受賞し、その卓越した業績が評価されました。1923年には東京帝国大学教授に就任し、国史学第二講座を担当。1926年には国史学第一講座を担うことになり、東大国史学科の中心的存在として指導を行いました。

文化的貢献と評価

辻は単なる学問の枠にとどまることなく、文化的な活動に幅広く関わりました。彼は『田沼時代』で田沼意次の再評価を試み、また『日本仏教史之研究』では日本仏教の変遷についての研究を発表しました。彼の研究方法は、広範囲な史料の収集と選択により、確実かつ適切な結論を導くものであり、多くの学者からの支持を得ました。

ただし、辻の研究は時として政治的な反響を呼びました。特に、足利尊氏擁護の論文が右翼の批判を浴び、中島久万吉商工大臣の辞任にもつながりました。また、彼の『人物論叢』も収録されている平清盛関連の著作は、文部省からの要請で絶版となるなど、出版社の意向に影響を受けることもありました。

晩年と受章

1938年に定年退官し名誉[[教授]]の称号を受けた後も、辻は学問との関わりを続けました。多くの大学で教鞭を執り、1962年には文化勲章を受章しました。その後の彼の業績は、彼の名を現在に伝える重要な基礎となっています。

1955年、78歳で他界した辻善之助の業績は、日本の歴史学のみならず、文化研究の発展にまで広がるものであり、多くの研究者たちに影響を与え続けています。

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