ルーマニア宇宙局

ルーマニア宇宙局（ROSA: Romanian Space Agency、ルーマニア語: Agenţia Spaţială Română; ASR）は、ルーマニアにおける宇宙開発の中核を担う機関です。1991年に設立され、当初は研究技術省の支援を受けていましたが、1995年に政府決定により独立した公的機関として再編されました。本部をブカレストに置き、ルーマニアの宇宙活動を総合的に推進する役割を担っています。

ROSAは、設立当初から国際的な協力関係を重視しており、1992年には欧州宇宙機関（ESA）との間で宇宙活動協力協定を締結しました。その後、2007年には協力国（European Cooperating State; ECS）協定、2008年には協力国活動計画憲章（Plan for European Cooperating State Charter）を締結し、ESAとの連携を強化しています。これらの協定を通じて、ROSAはESAのプロジェクトへの参加や技術交流を積極的に行い、ルーマニアの宇宙技術の発展に貢献しています。

ROSAの主なミッションは、ルーマニア国内における宇宙活動の推進と調整です。研究開発、技術開発、国際協力など多岐にわたる活動を統括し、国家としての宇宙開発への取り組みを促進しています。また、政府の代表として国際的な宇宙協力にも積極的に参加しており、様々な国や機関との連携を通じて、宇宙科学の発展に貢献しています。

ROSAの傘下には、宇宙科学研究所、国立宇宙研究所、重力研究所、国立宇宙通信情報センターなど、40以上の宇宙関連研究機関が所属しています。これらの機関は、宇宙科学、地球観測、宇宙通信など、様々な分野で研究開発を行っており、ルーマニアの宇宙技術力の向上に貢献しています。また、ルーマニア・アカデミーの宇宙研究所もROSAの傘下に属しており、基礎研究と応用研究の両面でルーマニアの宇宙研究を支えています。

ROSAの現在の局長兼CEOは、1995年からCEOを務め、2004年から局長を兼任しているマリウス＝イオアン・ピソ氏です。また、名誉局長には、ルーマニア人として唯一宇宙飛行を経験したドゥミトル・プルナリウ氏が就任しています。これらのリーダーシップの下、ROSAはルーマニアの宇宙開発を力強く牽引しています。

ルーマニアは、ロケット工学の先駆者として知られるヘルマン・オーベルトの出身地でもあります。オーベルトは、シビウ（現在のルーマニア領）出身であり、1935年にルーマニア初の液体燃料ロケットの発射に成功しました。この歴史的な出来事は、ルーマニアにおける宇宙開発の基礎を築いたと言えるでしょう。

ROSAは、ルーマニアの宇宙開発における中心的な役割を担っており、国際協力、研究開発、人材育成を通じて、ルーマニアの宇宙活動を今後も発展させていくことが期待されます。

参考文献

General Information - Romanian Space Agency
ルーマニア宇宙局 - JAXA宇宙情報局

関連項目

ゴリアテ (人工衛星)
ARCASPACE
Science and technology in Romania

外部リンク

公式サイト

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