ルーラーオブザワールド

ルーラーオブザワールド：英ダービー王者から種牡馬へ

ルーラーオブザワールド (Ruler of the World) は、アイルランドで生まれ育ったサラブレッドの競走馬、そして種牡馬です。彼の名を最も輝かせたのは、2013年の英ダービー制覇という偉業でしょう。当時3歳だったルーラーオブザワールドは、デビューからわずか2ヶ月弱という短期間で、クラシックレースの頂点に上り詰めたのです。

この年の英ダービーは、波乱に満ちた展開となりました。それまで7戦無敗で1番人気に支持されていたドーンアプローチが最下位に敗退する中、ルーラーオブザワールドは2着馬リバタリアンに1馬身半差をつけ、見事な勝利を収めました。[1993年]]のコマンダーインチーフ以来20年ぶりとなる3歳デビュー馬による英ダービー制覇は、競馬史に新たな1ページを刻みました。また、所有するクールモアグループにとっては、プールモア]、キャメロット([[2012年)に続く3年連続の英ダービー制覇という快挙でもありました。

しかし、ルーラーオブザワールドの快進撃は、続く愛ダービーで5着に敗れたことで止まりました。その後、秋シーズンに挑んだニエル賞では、日本のダービー馬キズナとの激しい叩き合いを繰り広げ、僅差の2着に終わりました。そして、多くの競馬ファンが注目する凱旋門賞では、思うような走りを見せることができず7着に沈みました。英チャンピオンステークスでは3着と健闘しましたが、3歳シーズンは、栄光と悔しさの入り混じったものとなりました。

4歳となったルーラーオブザワールドは、アルシャカブレーシング社が権利の半分を購入し、新たな挑戦が始まりました。ドバイワールドカップでは13着と大敗を喫しましたが、復帰戦であるフォワ賞では逃げ切り勝ちを収め、復活を印象づけました。しかし、その後も凱旋門賞9着、英チャンピオンステークス9着と、大レースでの結果に恵まれませんでした。そして2014年、ルーラーオブザワールドは現役を引退することとなります。

華々しい競走馬生活を終えたルーラーオブザワールドは、2015年からアイルランドのクールモアスタッドで種牡馬としてのキャリアをスタートさせました。初年度の種付け料は1万5000ユーロと高額に設定されましたが、怪我による種付け休止期間もあり、初年度産駒はわずか44頭となりました。それでも、その産駒であるイリデッサが2018年のフィリーズマイルを制し、G1競走初勝利という大きな成果をもたらしました。

その後、ルーラーオブザワールドはフランスのアラス・デ・ブクトー、そしてイタリアへと活躍の場を移し、種牡馬として活躍を続けました。彼の産駒からは、イリデッサ(フィリーズマイルなどG1を複数勝利)、ラプティココ(プリティポリーステークス)など活躍馬が輩出され、父としての実力も証明しています。

ルーラーオブザワールドの血統背景にも注目すべき点があります。彼の半兄には、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスなどGIを5勝したデュークオブマーマレードがおり、優れた遺伝子を受け継いでいることが分かります。

ルーラーオブザワールドは、短くも輝かしい競走馬生活と、着実に成果を上げている種牡馬生活を通して、競馬史に大きな足跡を残したと言えるでしょう。彼の血統は、未来のサラブレッド競走界を担う存在として、今後も注目を集めるに違いありません。

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