ルーヴル宮殿

ルーヴル宮殿

ルーヴル宮殿（Palais du Louvre）は、かつてフランス王の居城として機能していた壮大な建物です。パリのセーヌ川右岸に位置し、テュイルリー庭園とサンジェルマン・ロクセロワ教会の間に広がっています。ルーヴル宮殿の建設は中世に始まり、その後16世紀以降、さまざまな増改築が括られ、1682年までは事実上の王宮として利用されました。王宮として使用された後も1789年まで名目上の政庁として残っていましたが、その後美術館として再出発を遂げていきます。

建築の概要

現在のルーヴルは、広大な両翼と4つの主要な建物から構成されています。数世紀にわたる建築の変遷により、全体の様式は統一されていませんが、その魅力は多様です。総面積は約40ヘクタールで、ナポレオン1世時代に完成したクール・カレ（方形中庭）と、その後広がるクール・ナポレオン（ナポレオン広場）という大きな中庭を特徴としています。このクール・ナポレオンはカルーゼル広場に接しています。

宮殿は、クール・カレを取り囲む中世からルネサンス期にかけて建設された部分や、セーヌ河岸に延びるグランド・ギャルリ（大展示室）を含む「旧ルーヴル」と、19世紀以降に完成した「新ルーヴル」に大別されます。現在、ルーヴルの約60,600平方メートルが美術品の展示スペースとして使用されています。

ルーヴルの名の由来

「ルーヴル」という名前の由来は諸説あり、歴史家アンリ・ソーヴァルはラテン語の「Leouar」が「城塞」を意味することを指摘しました。しかし、多くの学者がこの解釈に異を唱え、「赤い土」を意味するラテン語の「Rubras」説や、オオカミ狩り用の場所である「louveterie」説も提唱されています。

歴史的背景

ルーヴルはその歴史的背景から、場所としての重要性が増していきました。1190年にフィリップ2世によって始まった城壁の築造以来、ルーヴルは最初は城塞として建設され、その後フランス王の居所として整備されていきました。中世にはいくつかの防壁が設けられ、王宮としての役割を持ち続けました。

1360年から1380年の間、城塞から宮殿に改築され、シャルル5世などの王によって装飾が加えられました。これにより、ルーヴルはただの防御施設ではなくなり、政治的な権力の象徴ともなっていきました。ルネサンス期には、フランソワ1世が多くの美術作品を収集し、ルーヴルをより華やかにすることに努めました。

その後のブルボン朝の時代には、アンリ4世やルイ13世による大規模な改修が施され、彼らの時代の特徴を持つ美術館に進化していきました。ルーヴルは、数世代にわたって多くの建築家による手が加えられ続けました。

ルーヴルの変遷と現在

19世紀以降、ナポレオン1世による拡張計画が進められ、現代的な要素が加わるようになりました。カルーゼル凱旋門が建設されたことにより、ルーヴルは単なる歴史的建物ではなく、パリのランドマークとしての役割を担うこととなりました。1983年にはフランソワ・ミッテラン大統領の下で、大ルーヴル計画が始まります。この計画により、ルーヴルは新たに生まれ変わり、ルーヴル・ピラミッドが設置されて以来、その姿はさらに進化を遂げています。

現在ではルーヴル美術館として、多くの来館者を迎え、世界の美術品を収蔵する場となっています。ルーヴル宮殿は、歴史、芸術、文化の交差点として、その魅力をどの時代にも伝え続けています。

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