カルーゼル凱旋門

カルーゼル凱旋門の概要

カルーゼル凱旋門（カルーゼルがいせんもん）は、フランスの首都パリ1区に位置し、テュイルリー公園内のカルーゼル広場にあります。この凱旋門は、ナポレオンの勝利を称えるため、1806年から1808年にかけて建設されました。エトワール凱旋門というより有名な建築物も同時期に計画されましたが、その完成には約30年もかかりました。

構造とデザイン

カルーゼル凱旋門は、高さ19メートル、幅23メートル、奥行き7.3メートルの大きさです。中央のアーチは6.4メートルの高さがあり、両脇の小さなアーチは4.3メートルです。この凱旋門の外側には、花崗岩製の8本のコリント式コラムが立ち並び、それぞれの上には帝国の兵士の像があります。門を飾るバス・レリーフは、歴史や勝利を象徴するデザインが施されています。

レリーフの中には、イタリア王国の紋章やフランス第一帝政の紋章があり、それぞれ知恵や力、勝利などを象徴しています。特に、ナポレオンの外交的勝利を祝うために作られたバス・レリーフには、プレスブルクの和約やウィーンに入るナポレオンなど、彼の勝利を伝える場面が描かれています。

このように、カルーゼル凱旋門は古代ローマの凱旋門、特にセプティミウス・セウェルスの凱旋門を模して設計されています。さらに、アーチの頂上には「クアドリガ」があり、これはサン・マルコ寺院の有名な「サン・マルコの馬」の複製です。

歴史的背景

カルーゼル凱旋門は、シャルル・ペルシエやピエール・フランソワ・レオナール・フォンテーヌによって設計され、建設されたとき、ローマのコンスタンティヌスの凱旋門がそのモデルとなりました。そもそも掲げられていた「サン・マルコの馬」は、ナポレオンが1798年にヴェネツィアから持ち帰ったもので、1815年のワーテルローの戦い後、オーストリア帝国に譲渡されました。オーストリア人は、それをもとの位置に戻しましたが、最終的には1828年にフランソワ・ジョゼフ・ボジオ男爵によって新たに製作されたクアドリガが再設置されました。

この彫刻は、二輪戦車に乗る平和の女神を描き、両側を金色の勝利の女神が導いている姿で表現されています。

地理的な位置づけ

カルーゼル凱旋門は、パリの歴史軸の東端を形成しています。この歴史軸は約9キロメートルにわたるもので、パリの北西隅を横断する重要な線となっています。この軸を引いていくと、凱旋門の先にはコンコルド広場のオベリスク、エトワール広場のエトワール凱旋門、さらに西には新たな凱旋門であるラ・デファンスのグランダルシュが位置しています。

しかし、凱旋門が建設された当初、カルーゼル広場から西側の景色には障害物が存在していました。これはテュイルリー宮殿の一部が視界を遮っていたためです。1871年のパリ・コミューンの際にこの宮殿が焼失し、その残骸が取り壊されてから、パリの歴史的な眺望が開け、凱旋門を起点とする壮大な景観が一般にも見られるようになりました。

これらの要素が組み合わさり、カルーゼル凱旋門は単なる建築物以上の意味を持ち、パリの文化的かつ歴史的なシンボルとして存在し続けています。

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