ルー・ブードロー

ルイス・ブードローの生涯と業績

概要

ルイス・ブードロー（Louis "Lou" Boudreau）は、1917年7月17日生まれのアメリカのプロ野球選手であり、監督でもあります。イリノイ州ハーベイ出身の彼は、プロ野球史上最年少の選手兼任監督として知られ、特に「ブードロー・シフト」という独自の守備戦略を考案したことで有名です。

経歴と選手としての業績

イリノイ大学を卒業した後、1938年にクリーブランド・インディアンスに入団し、9月9日にメジャーリーグデビュー。この年、1939年から1948年まで9年間で、リーグの守備率1位を8回も記録しました。特に1940年には9本塁打、101打点を挙げてMVP投票で5位に入るなど、卓越した打撃も披露しました。

1941年には、監督に就任することを手紙で申し出、1942年には24歳で史上最年少の選手兼任監督となりました。彼の守備力は特筆すべきもので、1941年7月17日の試合で、偉大なバッター、ジョー・ディマジオの痛烈な打球を横跳びで掴み、併殺を完成させたプレーの中で最も際立っています。このプレーによりディマジオの連続試合安打記録は56試合で途切れました。

監督としての成果

1944年には打率.327で首位打者を獲得し、1948年には監督としてニューヨーク・ヤンキースとボストン・レッドソックスと激闘を繰り広げた末、レッドソックスとの一試合プレーオフに勝利しリーグ優勝を果たしました。さらに、ワールドシリーズでもボストン・ブレーブスを4勝2敗で下し、インディアンスに28年ぶりの世界一をもたらしました。その年は個人としても打率.355、18本塁打、106打点を記録し、アメリカン・リーグのMVPを受賞しました。

1951年にレッドソックスに移籍後、監督を兼任しながら選手生活を続け、1952年に引退。その後はカンザスシティ・アスレチックスやシカゴ・カブスの監督も務めました。彼の監督成績は16年間で1162勝1224敗、勝率.487と決して華やかではありませんが、ボブ・レモンの育成や選手たちへの指導は高く評価されました。

ブードロー・シフト

1946年には「ブードロー・シフト」と呼ばれる守備シフトを導入しました。これは、相手の強打者テッド・ウィリアムズに対して自軍守備陣をフィールドの右側に集めるという戦略で、画期的な試みでした。この作戦は他球団にも広がり、日本でも王貞治対策の守備シフト「王シフト」の原型とされるほど影響を与えました。

晩年と遺産

1970年にはアメリカ野球殿堂に入り、古巣インディアンスは彼の在籍時の背番号『5』を永久欠番にしました。晩年はシカゴ・カブスの解説者として活動し、1987年までその役割を果たしました。2001年8月10日、イリノイ州の自宅で逝去しました。彼の革新的なプレースタイルと戦略は、今なお多くの野球ファンに愛されています。

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