レイズ・ザ・タイタニック

『レイズ・ザ・タイタニック』

『レイズ・ザ・タイタニック』（原題: Raise the Titanic!）は、1970年代から80年代にかけて人気を誇ったクライブ・カッスラーのダーク・ピットシリーズをもとにした映画であり、1980年にアメリカとイギリスで製作されました。この作品は、主人公ダーク・ピットが海底に沈む伝説的な豪華客船タイタニック号から財宝を引き上げるために繰り広げる冒険を描いています。

ストーリーの概要

物語は、米ソ冷戦という緊迫した時代背景の中で展開します。アメリカの大統領の秘密資金によって進められていた音波ミサイル防衛システム『シシリー計画』に必要な希少鉱物ビザニウム（架空の物質）は、1912年に沈没したタイタニック号に積まれていたとされ、西側の国家にとって極めて重要なものとなっていました。

ダーク・ピット（演者：リチャード・ジョーダン）は、潜水艇を用いて探査を行い、ついにはタイタニック号の手掛かりを見つけ出します。このプロジェクトの最大の困難は、3,650メートルもの海底から数万トンの鉄の塊を引き上げることであり、アメリカ政府、ロシア政府双方によるスパイ行為や妨害工作が、その成功を脅かします。

ピットとその仲間たちは、タイタニック号に接近し、海底爆破を行うことで浮上に成功するのですが、蓋を開けてみれば、そこで見つかったのはただの石ころでした。失望しながらも再度の調査を行い、コロラド鉱山の墓地を訪れることでビザニウムの正体を探ります。そこでようやくその存在を確認しますが、世界平和のためにビザニウムを元々あった土中に戻す決断を下すのです。

キャストと制作チーム

この映画のキャストには、ダーク・ピット役のリチャード・ジョーダン以外にも、様々な役者たちが登場します。フジテレビ版の吹き替えでは、初回放送が1982年に行われました。また、DVDやBlu-rayなどの各種メディアにも何度も収録され、今でも多くのファンに親しまれています。

監督はジェリー・ジェームソン、製作にはマーティン・スターガーとウィリアム・フライが携わり、脚本はアダム・ケネディとエリック・ヒューズによって執筆されました。音楽にはジョン・バリーが担当し、オープニングテーマが特に評価されています。

公開および評価

1980年12月に日本で公開され、全国的に宣伝が展開されました。しかし、興行成績はいまひとつであり、第1回ゴールデンラズベリー賞の最低作品賞にノミネートされたことは、その評価を象徴しています。原作小説における複雑なスパイ戦や人物関係はほとんどが省略され、終わりの展開においても観客から不満が寄せられました。実際のタイタニック号は沈没時に大きな損傷を受けているはずですが、映画内ではほとんど無傷の状態で引き揚げられてしまうため、観客に違和感を与えました。

クライブ・カッスラー自身も、自らの作品が映画化される過程での不都合に関して不満を公表していました。とはいえ、日本においては1981年度外国映画興行成績で第4位にランクインし、多くの観客を引きつけました。

まとめ

『レイズ・ザ・タイタニック』は、冒険とスリル、そして歴史的な背景を背景に持つ作品であり、未だに多くの人々に記憶され続けています。原作の持つ重厚なドラマ性を期待したファンにとっては物足りない結果に終わった部分もありますが、その大胆な設定とアクションは、映画好きには興味深い体験を提供しています。

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