レオナルド S.p.A

レオナルド社：イタリアを代表する防衛・航空宇宙企業

レオナルド社（Leonardo S.p.A.）は、イタリアに本社を置くグローバル企業であり、防衛、安全保障、航空宇宙産業において世界をリードする存在です。イタリア国内では第2位、先進技術分野では第1位の産業グループに位置づけられ、ヨーロッパにおける航空機製造、そして世界の電子工学分野でもトップクラスの実力を誇ります。宇宙分野ではBAEシステムズとの強力な連携によりヨーロッパ首位を占め、防衛電子システムにおいてもヨーロッパ、西側諸国で第2位にランクインしています。ヨーロッパの防衛・安全保障システム市場においても、トップ企業への道を歩んでいます。

歴史と変遷

1948年、イタリアの産業復興公社IRIによって、機械工業や造船業への投資を目的としたフィナンツィアリア・メッカニカ・フィンメッカニカ社として設立されました。創業当初は、アンサルド、アルファロメオなどのイタリアを代表する企業を傘下に収める巨大企業としてスタートしました。

2000年には50億ユーロを超える株式を市場に公開し、民営化。イタリア経済財務省が現在も約3割の株式を保有する一方、株式の7割が公開株式となり、より市場志向の企業へと変貌を遂げました。

2015年には、鉄道車両製造子会社であるアンサルドブレーダを日立製作所に売却。2016年には、社名を「レオナルド」に変更し、レオナルド・ダ・ヴィンチに由来する新しい社名で新たな歴史を刻み始めました。同時に、自動車製造、造船といった事業から撤退し、防衛・安全保障、航空宇宙分野へ事業を集中させる再編を行いました。

事業内容と主要製品

レオナルド社の事業は大きく4つのセクターに分類されます。

航空機セクター

民間・軍用航空機の製造、次世代自動操縦システム、航空関連機器の開発・生産で高いシェアを誇ります。特に、訓練用航空機とその地上支援サービスにおいては世界的なリーダーとして知られています。ユーロファイター戦闘機プログラムにも参画しており、リージョナルターボプロップ機製造のATRやスーパージェットインターナショナルといったジョイントベンチャーにも積極的に関わっています。

ヘリコプターセクター

アグスタウェストランド社を中心としたヘリコプター事業では、設計から開発、保守、サポートまで一貫したサービスを提供しています。商業用、公益用、防衛用まで幅広い用途に対応したヘリコプターを製造しており、1.8トンから16トンまで様々な重量カテゴリーのヘリコプターをラインナップしています。

電子機器、防衛システム、安全保障システムセクター

このセクターでは、防衛・航空宇宙システム、安全保障・情報保護システム、インフラ・領土防衛システムなどを開発・提供しています。航空交通管制、船舶交通管制、国境警備システムなども手掛けており、情報インフラの設計・管理、サイバーセキュリティ対策なども含む包括的なサービスを提供しています。艦砲射撃システム、装甲車、潜水システムなども開発・製造しています。

宇宙セクター

タレス社とのジョイントベンチャーであるタレス・アレニア・スペース社、テレスパツィオ社を通じて、人工衛星の開発・製造、地球観測、ナビゲーションシステムなどに携わっています。気象、環境監視、防衛、科学ミッションなど、多様な用途に対応した人工衛星システムを提供しています。

国際協力とジョイントベンチャー

レオナルド社は、世界中の企業と活発に協業し、ジョイントベンチャーを多数設立しています。DRSテクノロジーズ（アメリカ）、MBDA（BAEシステムズ、エアバスグループとの共同）、タレス・アレニア・スペース、テレスパツィオ（いずれもタレス社との共同）、ATR（エアバスグループとの共同）などが代表的な例です。

日本における展開

日本では、アグスタウェストランド社の日本法人が2008年に設立され、商業用・公益用ヘリコプターの販売や海上自衛隊への艦載砲の供給などを行っています。2022年には、日英伊共同開発の次世代戦闘機プログラムにおいて、三菱重工業、BAEシステムズと共に重要な役割を担うと発表されています。

まとめ

レオナルド社は、長年にわたる技術開発と国際協力を通じて、世界をリードする防衛・航空宇宙企業としての地位を確立しました。多様な事業セクターと強力な国際連携を背景に、今後も技術革新を続け、世界的な安全保障に貢献していくことが期待されます。

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